
発行元 彩流社 著者 佐々木 俊弥 価格 1800+税
今日はスローフードの本を紹介します。イタリアが発祥のスローフード運動は日本でも活動されています。『食育』という言葉が流行った言葉なので聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし、食育という言葉に違和感を感じる人も多く語源は2005年に成立した食育基本法に基づくものです。スローフードというと極端にファーストフードを嫌うというイメージでしたが、ここでの活動はそういう事ではなくバランスの取れた安心、安全なものを食べようと言うことです。ハンバーガーを1ヶ月食べ続けると健康を損なうという映画がありましたが、これについても毎日同じものを食べ続ければファーストフードでもスローフードでも健康損なう恐れはあると書いています。
スローフード協会では食育という言葉ではなく『味覚教育』という言葉を掲げており、見た目だけではない本当に美味しくて安全な食べ物の普及を目指しています。ファーストフードと対極の言葉であるスローフードですが、ただファーストフードを否定するだけなのではありません。実際に仕事の長時間化やライフスタイルの多様性の中でそれを必要としている人がたくさんいることも事実です。それを受け止めた上で、自分たちが食に対してどのような事が出来るのかを考えて実践しているように思いました。活動の1つとして『親子でみつけよう!ほんとうの味』というものがあります。食を中心にした地域のコミュニケーションというのはとても大切だと思います。親子で料理をすることは、大きくなってからも必ず記憶に残っているものです。
ところで僕はイタリア野菜が好きなので、これを栽培して食べ方を伝えて普及させたいと思っています。しかしながら現状の作物を扱う生産者と消費者の間に入っている活動だけでも、とても苦労されていることが伝わってきます。この本を読むまで消費者視点でしか物事を見れていませんでしたが、市場や農協の方の現状や葛藤などが読み取れます。市場を介さない産直販売が増えていることへの危機感というのは、消費者にはなかなか伝わらないものです。事実、僕もスーパーで産直品を見かけると買ってしまいます。しかしながら昔からある市場という仕組みには理由があり、国内での作物だけでなく海外の作物も取りまとめ安全なものを見極めてセリで販売するという、いわば食品の安全を保つ最後の砦としての機能が存在します。市場のイメージと言えば作物をひとまとめにして価格を決めるところというイメージしかありませんでしたが、このような大切な役目があることも知ることが出来ました。とは言え、ここでも書かれていますが生産者の顔が見える作物を食べたいという需要は大きく、この現状も受け止める必要があると書かれています。
その他にも商店街や飲食店の方々の話もあり、様々な角度からの意見を読むことが出来ます。
ここでスローフード協会のミッションを抜粋させていただきます。
~私たちのミッション~
『スローフードはイベントやイニシアチブを通じて、私たちの食料供給の多様性を守り、味覚教育を広め、すぐれた食の生産者と共生産者を結びつけるために動いています。』
この本を読んでみて色々と考えさせられることが多いですが、僕は地元が好きなので何か出来ないかと思っています。みんなで地域を盛り上げていけるような活動が出来たら言うことはありません。何か機会があれば自分自身も行動に移して活動に参加してみたいと思います。
結構偏ったことが書いてあると思っている方や食の極端な思想というイメージをお持ちの方も、最後まで読んでみるとイメージが変わると思います。ぜひ1度読んでみてください!!