Dolce far niente/Kamakura/Espresso(Solo)

ローマのテルミニ駅に到着後、早速宿を探します。
安宿街というのはどの街でもたいてい駅周辺に固まっておりバックパッカーらしき姿を見かければ、ほぼ近くにあることは間違いないと思ってよさそうです。
すでに8月上旬になり学生バックパッカーも増えてきました。たいていは地球の歩き方を参考にして宿を目指してくるので、日本人の比率も必然的に増えてきます。ローマには建築家を目指す方や就職活動が終わって最後の夏休みを満喫しにきた方。学生とは別に、1年かけてヨーロッパ中を旅行している方など目的は様々ですが日本では会うことの無い方たちに出会えたりしました。もちろん日本人以外のバックパッカーの国も様々です。国籍問わず、美術館巡りなど目的を持って旅をしている方が多く、どこどこで誰に会ったとかバックパッカー間で知っている人がつながったりするのは面白かったりします。

バックパッカーと言えば貧乏旅行ですが、現地の水道水は飲めずミネラルウォーターに頼るのは結構な出費になります。水は日本に比べても安かった記憶がありますが、それでも出費には変わりません。
ある日誰かが・・

『ローマは水道が昔から整備されていた上に、湧き水も豊富だから水の都と言われるらしい』

と小耳にはさみ、それ以降ローマでは噴水の水を汲んで飲んでいる毎日でした。とくにスペイン階段の下にある噴水にはお世話になりました(笑)胃腸が丈夫になっていたのか、お腹をくだすことも無く何も問題がありませんでした。今でもその話は本当なのかは定かではありませんので皆さんは止めたほうが良いと思います(笑)

そんな旅もそろそろ終盤になり、ローマでは遺跡巡りをしながら夜は何人かで食事をすることも増えました。今までの1人ご飯とは違い、パスタをシェアしたり出来るのが楽しくもありました。今とは違って、日本で美味しいイタリア料理を食べることが無かったのでイタリアで食べたパスタやピッツァは全てが衝撃的でした。この経験以降、イタリア料理に興味を持ち、エスプレッソに興味を持つことになります。基本的に日本語メニューがある店はダメという神話はありますが、素人にはとても優しくて助かりました。中でも好きな形のパスタを選んで、味によって値段が違うというシステムは斬新に感じました。
今思えば、イタリア料理の食べ方も知らずパスタやピッツァばかり食べていたのはもったいない話で、後悔はしてもしきれません。けれど、その後悔も今となっては『今年中にもう一度イタリアに行ってやる!!』と決意させ、食べてみたい物や見てみたい事が山となって積み重なり起爆剤となっていたりもします。

何日かローマに滞在してパリに移動する日、テルミニ駅からの夜行に乗るときにたまたま出会ったバックパッカーのみんなが見送りにきてくれました。総勢5人ほど。みんなローマで出会った1人旅の集団です。駅の2階に『Ciao』というカフェのようなバールのようなお店がありカフェラッテを飲みながら時間になるまで雑談していました。。列車は4人部屋の寝台です。ローマからフィレンツェやヴェネツィア、ミラノを通り翌日の朝にはパリに到着します。向かいにはイタリア人の老夫婦が横になっています。出発の時間を少し過ぎたところで列車が動き出しました。窓際に立ってみんなに手を振りました。みんなも手を振って見送ってくれます。別れる寂しさやら、出会えた嬉しさやらで涙が止まりませんでした。老夫婦に感づかれないように隠すのが大変でした。

イタリアに来なければ味わえなかった感動が沢山ありました。


この旅で飲んだEspressoは僕にとって色々な味になって記憶に残っています。
どう飲むかわからず、砂糖を山ほど入れて飲んだり、入れないで飲んだり。
座ってちびちび飲んだり、生意気にバンコで立って飲んだり。
そのときの味は、色々な出会いの思い出の味も含まれてしまっているので
純粋に美味しいのか美味しくないのかは全くわかりません。

けれど苦くて甘くて安くて少ない不思議な飲み物に取り憑かれてしまったことは確かです。
またBarの人間模様の虜になってしまったことも、また事実です。


機会があれば皆さんも『バール』をぜひ味わってみてください。
きっと、いつもとは違った感情が生まれるのではないかと思います。

→明日へ続く