サクッと読める短編集を探していた時に目についた一冊がこちら、タイトルは「5分間SF」。
どうも一編あたり5分で読めるという手軽さでは他の比ではないお手軽SFショートショート集でした。
【感想など】
一つ一つが短いので、個人的に気に入った短編を複数サクッと感想に起こしておこうと思います。
・マダム・フィングスの宇宙お料理教室
不死身のキメラをどうにかして食べようというお料理教室、ただしキメラは切り刻まれても調理されても死なないほど強いのでアシスタントが2,3人犠牲になるという衝撃展開。
最後にはまさかの人類向けレシピとキメラ向けの人間を食うためのレシピを両立させたお料理教室であると判明する。
何喰ったらこんな発想になるんだ。
・断続殺人事件
タイムトラベル能力を持つ女性が、自分を陥れた元交際相手の男性を過去に飛んで何度も殺害する、そしてそれをどうにかして立件しようとする検事のお話。
何故立件できないのか、法の穴を突きまくる展開と最後の完全な抜け道を駆け抜けていく設定は感心しました。
・トビンメの木陰
ある銀河を制覇した男の歴史と、彼の墓の近くに生えたトビンメの木の関係を描いた物語。
銀河を制覇するほどの圧倒的な行動力や人類の限界を極めた能力の原因が判明する辺りが非常に熱かった。
・予告殺人
未来が見れる女性が姉夫婦が殺し合いをするという夢を見たというところからスタートする物語。
超能力者だらけで収集が付かない状態になってしまう訳ですが、これから起こりうる事象の結末に行き着いた瞬間はっとさせられる内容にまとまっていました。
・ユビキタス
最後の短編で、人類は完全に体内に埋め込まれたデバイスや緻密なネットワークプログラムを活用して生きているのが当然という世界設定。
ある日、たった一分の間すべてのシステムが停止するという事件に見舞われたところ、多くの人類はパニックを起こした一方で、ネットワークから切り離された世界に対して、初めてじっくりと向き合う機会を得ることとなります。
情報化社会が加速したら行き着く可能性のある未来、現代社会に対してもっと余裕を持てというエッセンスを感じさせられる一編でした。
・統括
どの短編もさっくり読めて、それでいてそう来るかぁ!と思わされる内容で満足でした。
ただアレですね、すぐ読み終えられると思って調子に乗ってたら辞め時分からなくて結局全部読んでしまうことになってたので細切れの時間に読むことを想定して買った筈なのに結局いつもと同じになってしまいました。
この前書店では内容を充実させた「7分間SF」が発売されているのを発見したので、そちらも是非読みたいと思います。
