フェルメールの少女とも会った。
レンブラントの大作「夜警」やゴッホの名作の数々も鑑賞した。
今回の旅、ほぼミッションは完了した。

いや、あと二つ残っている。
その一つがアントワープのノートルダム大聖堂を訪ねること。
幼い時に涙したアニメ「フランダースの犬」の哀しい舞台となったところだ。

▼ルーベンスの最高傑作「キリストの降架」

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貧困にあえぎながら、祖父と老犬パトラッシュと暮らす少年ネロ。
牛乳運搬で糊口をしのぎながら、いつか画家になること夢を抱いていた。
彼はノートルダム大聖堂にある祭壇画が見たくてたまらなかった。

それはルーベンスの筆になるものだが、
貧しい彼には高価な観覧料が払えなかったのだ。
祖父を亡くし、仕事もなくし、古里を追われた少年ネロ。

▼高い尖塔が印象的なノートルダム大聖堂
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唯一の希望だった絵画コンクールにも落選。
厳しい冬。身も心もボロボロになりながら、大聖堂にたどりつく。
その時、奇跡が起こった。漆黒の空から一筋の月光が祭壇画に射し込んだのだ。

夢かない、神に感謝を捧げる少年ネロ。
しかし彼とパトラッシュは翌朝、冷たい骸となって発見される。
折りしもクリスマスの日だった。

▼伝統の重みを感じるアントワープの街並み
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この物語は、イギリスの作家ウィーダが19世紀に書いた児童文学。
日本ではTVアニメとして大ヒットしたが、ベルギーでの反応は冷ややかとか。
悲惨な結末がネガティブ過ぎると受け止められているからだ。

アントワープは首都ブリュッセルから北へ45キロ。
ベルギー国鉄自慢の特急列車(IC=インターシティ)で40分。
大聖堂の尖塔を目印に20分ほど歩くと、旧市街の中心部に到着する。

▼「フランダースの犬」の石板。景色が映り込んでしまった
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ノートルダム大聖堂は16世紀に建造されたベルギー最大のゴシック教会だ。
尖塔の高さは123メートル。アントワープ港に入る貿易船の目印にもなった。
入場料は5ユーロ(500円)。少年ネロの時代にはいくらだったのだろうか。

この大聖堂の前には「ネロとパトラッシュ」の石板がある。
トヨタ自動車が寄付したものだが、欧米の観光客には見向きもされない。
若い女性はベンチ代りに腰かけている。彼我の思い入れの差を実感した。

▼こちらはルネサンス様式の市庁舎。今も現役だ
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アンティークなアントワープの街並み。
いくら眺めていても、見飽きるということはない。
グローテマルクト広場に面した市庁舎も華麗さでは負けていない。

1565年に完成したルネサンス建築。
いまも、そのまま使われてるというのは驚きでもある。
広場中央にあるが古代ローマ兵士「ブラボーの噴水」だ。

▼ブラボーが巨人の手を投げる像。巨人にしては手が小さい
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▼巨人が住んでいたシュヘルド川。北海へ流れ込む
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昔々、アントワープ西を流れるシュヘルド川に巨人が住んでいたとか。
ブラボーは「巨人の手=ant」を切り取って「投げた=werpen」という伝説があり、
それがアントワープ(アントウェルペン)の由来とされている。

旧市街散策で気をつけないといけないことが一つある。
それは公衆トイレが全く見当たらないことだ。
冷え込む冬場は特に要注意だ。

▼旧市街にはカフェがいっぱい。トイレはカフェを使いましょう
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じゃあ、どうすればいいの。それはカフェに駆け込むことだ。
しかしカフェでお茶すると、またトイレに行きたくなる。
もう悪循環のドツボにはまってしまいそう。

Mちゃんが編み出した裏技がある。
それはカフェのお兄ちゃんにニッコリほほ笑んで、
「トイレ使わせてネ」とお願いすること。

▼16世紀まで使われていた要塞ステーン城
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「ほぼ100%成功するわよ」。Mちゃんは鼻高々。
とくに鼻の下の長そうなお兄ちゃんだと、すぐにOKしてくれるとか。
外国人には10代にしか見えないMちゃんだからの裏技だろう。

ウサギさんだと一発で拒否されるかも。
それはいいけど、なぜヨーロッパの街にはトイレが少ないんだろう。
運よく見つかっても有料(0.5~1ユーロ)。何とかしてほしいなあ。

■毎度おなじみ、役立たずクイズ(8)

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ブリュッセル郊外に、こんなユニークなものがありました。
白く光る9個の球体。なんと102メートルの高さがあるそうです。
さて、これは何でしょう? 

※役立たずクイズ第7回解答 

ビッグマックのお値段は④4.2ユーロ(420円)。
日本と比べると、かなり高いような。
お客さんはいっぱいでした。