パルミラをめざして、車は漆黒の闇をひた走る。
茫漠としたシリア砂漠、民家なんてあるはずもない。街灯なんて望むべくもない。
起伏の多いアスファルト道路、ヘッドライトが寂しく照らし出す。
疲労もピーク。眠りの天使が甘い声でささやきかける。
夢か現つ幻か。フロントガラスの向こうに、幻影のような光景が広がった。
▲延々2キロにわたる光の帯
ライトアップされた世界遺産「パルミラ」だ。
延々と続く光の帯。パルミラのスケールの大きさを物語る。
「これはすごい」。眠気は一気に吹っ飛んだ。
車は遺跡群を掠めるように進み、ナツメヤシの林を抜ける。
いまから1800年前、シルクロード交易で繁栄を極めたパルミラ王国。
ギリシャ語でナツメヤシを意味する「パルマ」が起源とされる。
▲シンプルな晩飯 ▲白ワインに癒される
午後9時半、ようやくホテルに到着した。
お腹はぺこぺこ。チェックインもそこそこに、レストランへ急行。
クローズが近いせいか、かなり質素なワンプレート。
たぶん羊のミルクで炊き込んだワイルドライス。
羊の臭いが、そろそろ鼻についてきた。ピタパンはどこで食べてもうまい。
白ワインを奮発。シリア産の白。ハーフボトルで18ドル。これはめっけものだ。
疲労回復には入浴が一番。裸になって、バスタブの蛇口をひねる。
なんとビールみたいな色のお湯が噴出した。
ビールなら大歓迎だが、これは砂混じりなのだ。
流しっぱなしにしてはも、色は薄くならない。ここは砂漠のど真ん中。
日本のように、いつでも透明のお湯が出るなんて思ってはいけない。
▲街があればモスクもある
人生前向きに考えなくっちゃ。もちろん、そのまま入浴する。
さすがに洗顔だけはミネラルウォーターを使った。
ベッドインは午後11時。モーニングコールは午前8時にセット。
ところが午前4時に眠りは破られた。そう、ここでもアザーンが響いたのだ。
もちろん二度寝。再び目覚めたのは午前8時過ぎだった。
▲窓の向こうにパルミラ遺跡が…
▲久しぶりに、しっかり食べた
なんと、ナツメヤシの林の向こうに壮大なパルミラ遺跡が広がっている。
昨夜はすぐに眠ったので気づかなかったが、このホテルの立地は秀逸だ。
朝食は、またまたバイキング。
熱々のスクランブルエッグがうまい。ショーキッチンでシェフが焼いてくれたもの。
気力がメリメリと湧き上がってきた。さあ、パルミラ観光に出発だ。
■ヨルダン・シリアクイズ~第13回■
パルミラ遺跡から1キロメートル近く離れた砂漠に、
高さ30メートルもある石造りの塔がありました。
さて、これはなんでしょう?
(1)のろし台
(2)財宝庫
(3)見張り台
(4)墓地
(5)図書館
(6)その他
☆この連載は土・日曜日にアップします☆
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