
【ショートショート】高槻アルプラザのスターバックスで一瞬見た夢の話 ── 六弦グィングィン奏法と人類最終決戦
【เรื่องสั้น】เรื่องเล่าของความฝันเพียงชั่วพริบตาที่สตาร์บัคส์ อัลพลาซ่า ทาคาทสึกิ ── เทคนิคโซโล่กีตาร์หกสายสะเทือนโลกันตร์ กับศึกตัดสินครั้งสุดท้ายของมนุษยชาติ
高槻アルプラザのスターバックスで、私はROLLYの『TVブロス』に掲載された文章を読んでいた。
昼だった。
店内は静かだった。
カップの置かれる音。
コーヒーの香り。
誰かがパソコンを開いている。
私はページをめくった。そこには、こう書かれていた。
秘技「笑うギター」の真実
エレキギターの「笑うギター」というオリジナルの技を持つ。
ギターが笑っているかのようにキュルキュルと音を立てる。
タイ語では――
กีตาร์หัวเราะ(ギターが笑う)
30年間誰にも教えたことがない秘密の技。
ความลับ 30 ปี(三十年の秘密)
番組出演時には背を向けて演奏した。
ห้ามคนอื่นมองมือ(手元を見せてはいけない)
さらに手書きで、こう書き加えられていた。
高槻の松田茂樹氏が発明した「笑うギター」は、決して他人には見られてはいけない秘密の技で、ギター奏法の七不思議の一つとされる。
現在では「笑うギター2」「笑うギター3」「六弦グィングィン奏法」に進化しているらしい。
私はそこでコーヒーを飲んだ。
少し眠かった。
そして、その時。
激しい睡魔がおそい、私は一瞬の眠りに落ちてしまった。
突如訪れた、世界の終わり
気がつくと、世界が終わりかけていた。
空は灰色だった。
街は完全に止まっていた。
ただ、看板だけが不気味に光っている。
巨大なモニターに文字が浮かび上がる。
【未知のウイルス蔓延。人類滅亡の危機】
人々は逃げ惑っていた。しかし、どこへ逃げても追いつかれる。
なぜなら、そのウイルスは「空気」ではなく、**「音」**を媒介して感染するものだったからだ。
誰かのため息。
誰かの独り言。
スマートフォンの通知音。
あらゆる音からウイルスが増殖していく。
世界中から音が消え、静まり返った。
救世主の旋律
その時、静寂を破って遠くからギターの音が聞こえてきた。
キュル。
キュルキュル。
──「笑うギター」だった。
演奏が始まる。音の波が世界へ広がっていく。
すると、あんなに猛威を振るっていたウイルスがみるみる消えていくではないか。
「助かった……!」
人々が歓声をあげる。世界は救われる、誰もがそう確信した。
……と思った、その瞬間。
──ビーーーーッ!!
突然、不穏な警報音が鳴り響き、赤い文字が空間を埋め尽くした。
【ウイルス進化確認。笑うギター耐性獲得】
再び訪れる静寂。誰もが絶望し、身動きひとつ取れなくなった。
最終兵器「六弦グィングィン奏法」起動
その時だった。
ギターの六本の弦が、意思を持ったかのように勝手に震え始めた。
一本。
二本。
三本。
四本。
五本。
六本。
空に巨大な文字が浮かぶ。
【六弦グィングィン奏法 起動】
演奏者は世界に背を向けた。
手元は決して見えない。
ただ、圧倒的な音だけが響き渡る。
グィン。
グィングィン。
グィィィィィィィィィィン。
どこからか、厳かなタイ語の声が聞こえた。
เริ่มได้(開始)
六本の弦は、それぞれ全く別の「方向」へと鳴り響いた。
- 一本は、過去。
- 一本は、未来。
- 一本は、右。
- 一本は、左。
- 一本は、ประเทศไทย(タイ王国)。
──そして、最後の一本だけは、なぜか説明されなかった。
次元を超えた音が世界を包み込む。
進化を遂げたウイルスは動きを止め、激しく震え……そして、笑い始めた。
ウイルスはあまりにも笑いすぎた。
笑い転げるうちに、自分がウイルスであったことすら忘れてしまった。
そして、そのまま消滅した。
空は一転して、眩しいほどの青空になった。
人類は、救われたのだ。
空に、最後の文字が浮かび上がる。
ภารกิจสำเร็จ(任務完了)
覚醒
……そこで目が覚めた。
目の前にあるのは、高槻アルプラザのスターバックスのテーブル。
コーヒーはまだ温かかった。
現実に戻った私は、手元にあった『TVブロス』を閉じようとした。
すると、ページの隅の小さな余白に、手書きの文字が残されているのを見つけてしまった。
次回 笑うギター4

私は静かに本を閉じ、見なかったことにした。
めでたし、めでたし。
ㇵハハハ。
6弦グィングィン奏法動画