笑顔になろう!

 

 先生業のコンサルタントをするという志師塾の無料コンサルタントを、去年90分受けた。ZOOMで、お話とメンバー同士の対話でのワークもあり、非常に勉強になった。その時に聞いた、自分のプロフィ―ルを2万字(だったと思う)書けというのを実行しようとして、取りあえず1万字は書いた。

 

 それで、自分のプロフィ―ルと、それを基にしたコンセプト(方針、理念)を作り、チラシを作った。自分は高校の時、勉強に付いて行けなかった。だから、どんな子も勉強がわかるようになって欲しい。そういう塾でありたいと書いた。

 

 そして、3つのコースを新設し、それぞれ効果が上がらなかった場合「返金します!」と書いた。高額商品を作れと言われていたので、「県立上位3校受験7カ月一括28万円コース」というのを作った。これも合格しなかったら返金するという約束を付けた。

 

 そうして本当に、このコースに生徒が来たのである。面談をし成績を聞き、大丈夫だと思ったので受け入れることにした。28万円が支払われた。

 

ところが、この子が意外と何をやらせても遅い。宿題も半分もやって来ない。こんなことでは到底合格しそうにない。しかし、どんなに言っても本人は至ってあっけらかんとしている。こちらは焦るばかり。終いにいやになった…。

 

 いくら才能があってもまた先生が優秀でも、本人にやる気がなければどうしようもないのである。

 

 私は怒ったり、イライラしたりするのを止めた。

 

そして12月が過ぎ、願書を第2志望の国立大学附属高校に出した…。

そうして本当に運の良いことに、その高校に合格してしまったのである―。

 

 親は喜んでお礼にお菓子まで持って、両親揃ってあいさつに来た。

 

 良かった。第2志望も危ないと言われていたので、親は満足で返金をする必要は全くなくなった…。

 

 ところがここで、もう返金の約束はいやだったので、今年のチラシからは返金保証をなくした。

 

すると今年のチラシは、全額返金します!というインパクトがなかったので、少し安くはしたが、全然受けなかった。

 

 そして去年、勉強のできない子、遅れている子の追いつきコースというのを作っていたので、勉強のできない子が多くなっていた。

 

 そして4月が来て中3生が卒業して行くと、経営がいよいよ苦しくなって来た。

 

 特にツワモノが、週4回来る中高一貫校の中2の女子なのだが、やる気がないのか、わからないのか、自分の席でやって来いというと全然進まない。数学の正負の数の足し算ができない。間違えた所を指摘してやり方を教えて数問を直すのにすごく時間がかかる。英語も、数学ほどではないがなかなか進まない。見に行くと隠れて学校の宿題をしている。

 それで最後には、ここに座っておけ、と言って隣に座らせてやらせていた。そして間違うとすぐに指摘した。英語もこうやってやらせた。宿題もして来ないので、正負の数の掛け算割り算を教えると、足し算がわからなくなっていた。

 

 とにかく宿題をやって来なければだめだ、と説教すると、毎日数学をやるのはつらいのではないか、と親が言う。そうして来なくなった。

 

 ゴールデンウィークの連絡を忘れていたので、母親がもう教える気がないのでしょう、と逆切れして来た。実は全員に忘れていた。

 

 1カ月半しか続かなかったが、この子の月謝が最も高かったので、経営はさらにひっ迫して来た。

 

 先生業のコンサルタントの勉強をもう一度やろうと、志師塾の五十嵐和也さんの本を電子書籍で買って来て、読み始めた。それには、一番いいお客をイメージせよ、そこに向かって広告を打て、と書いてあった。

 

 私にとって一番良かったお客さんは、もちろん県立トップ校に通った女の子である。できる子は教材さえ与えればどんどん伸びて行く。しかも他の子も呼んで来る…。

 

 ところが、できない子は労多くして効果が上がりづらい。しかもその子がいるからと言って他の生徒が来るわけではない。

 

 そんなことは分かっていた。もう30年も前から分かっていた。

でもここに来て、それが経営を苦しくしている原因の一つである事を認識せざるを得なくなった。 

  

 私は、できない子向けではない新しいチラシを作った。

 

 同じ頃信仰の方で、笑顔の実践を言われ、私が冗談で爆笑している写真を友人に送ると、それが支所長の目に止まり、皆の笑顔の写真を撮って貼り出すことになり、その中で中央に大きく私の写真が使われることになった。そしてそれを見たベテランの信者さんから、それ塾に貼っておいたら、生徒が笑顔になっていいと思うよ、と言われた。

 

 私はちょっと躊躇した。それはあまりに馬鹿げた写真だったからである。塾の先生がこんな馬鹿な顔をしていいものなのだろうか…。

 

 しかし、勉強の嫌いな女の子、男の子よ。どんなに同じところで間違っても、宿題をやって来なくても、先生はもう怒らないよ。何遍でも同じところを教えるよ。そしていつも笑顔で、笑ってあげたい。君はきっとできるようになるよ。君はきっと素晴らしい人生を歩めるよ。君はきっと幸せになれるよ……。

 

 先生は君を信じているよ…、と言ってあげたい…!!!

 

 もう、やけくそである。これ、経営的にどうなのだろうか…。