フラワーモチーフジュエリーブランド
セレンディップジュエルの
天生目理香(Nabatame Rika)です。
このブログは、今落ち込んでいて、
出口が見えない人に読んでいただきたくて
書き始めたパーソナルStoryです。
はじめましての方へ
10個の宝石 (40歳どん底Ns.がジュエリーで輝く2620日⑲)
国内最大の国際展示場・東京ビッグサイト。そこが展示会の会場だった。
毎年定期的に開催される展示会の時期に合わせて、フセインさんは年に数回、日本へやってくる。
国内外のジュエリーと、それに関係する人々が集結する会場には熱気があった。人混みの中を縫うように、川本さんとフセインさんと一緒に見て回った。
ドイツ、イタリアなど欧州のジュエリーブランドの商品がとても素敵で、思わず立ち止まってしまう私。でも、フセインさんが興味を持っているのは非加熱の宝石だけだった。
もっといろんなジュエリーや宝石を見たかったのだけれど、非加熱宝石だけを見て回った。
だんだん分かってきた。フセインさんにとっては、非加熱の宝石以外は価値の低い宝石だということが。
「フセインは自分の宝石に絶対の自信を持っているからね、スリランカでは、国内で宝石に加熱すると逮捕されてしまうんだそうだよ」
川本さんに教えていただいたことを思い出した。スリランカはそれほど宝石に自信と誇りを持っている国なのだそうだ。
加熱は宝石を美しくするために行われる。地中から採掘されたままの宝石で、カットと研磨以外の処理だけで美しく輝くのはほんのわずかなのだという。
日本ではあまり知られていないが、宝石には加熱と非加熱のものとがある。日本に流通している宝石の90%は人工的に加熱処理がなされていると教わった。
私にとって初のジュエリー展示会は、一言で言えばとても「マニアック」だったと思う。
その後、フセインさんが滞在している銀座のホテルで3人で食事をしながら、展示会の感想や、フセインさんのお話などをうかがった。30年間、毎年数回日本に来ているから、日本の友達は家族のように感じるのだそうだ。若い頃は、芸能界にも何人かお友達がいて河合奈保子さんとお友達だったとか。松田聖子さんにも会ったことがあるという。
「えー!?すごい!私も会いた-い!」中学生の頃松田聖子さんの大ファンだった私は、本当にうらやましかった。宝石とは関係のない話ですっかり盛り上がった楽しい食事の時間だった。
その後、ホテルの一室で宝石を見せていただきながら話をしている時だった。
「宝石を売りたいなら、やってごらん」
フセインさんは、そう言って10個の宝石を私に手渡した。
サファイア、アレキサンドライト、ルビー、キャッツアイ、アクアマリン…。総額は100万円くらいだった。
唐突すぎる出来事に、川本さんも私も驚いた。
だが「簡単、簡単。大丈夫だからやってごらん」と微笑むフセインさんに促され、戸惑いながらも受け取ってしまった。
帰りの新幹線の中で、この日起きた出来事を思い返し、私は思った。
「何だこの展開は?!」
思いがけず私の元へやってきた宝石たち。
「これからどうしたらいいのだろう…」
呆然と家に帰った。