フラワーモチーフジュエリーブランド

セレンディップジュエルの

天生目理香(Nabatame Rika)です。

 

このブログは、今落ち込んでいて、

出口が見えない人に読んでいただきたくて

書き始めたパーソナルStoryです。

 

 

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 セレンディップの宝石②(40歳どん底Ns.がジュエリーで輝く2620日⑰)
 
 半信半疑だった。
 
 細く薄い縁で出会ったフセインさん、そしてフセインさんから紹介されたご友人の川本さん…。
 それでも、行動することが大切だと思って電話をかけた。
 
 「フセインさんからご紹介いただきました、天生目(なばため)と言います。一度そちらにうかがってお話をお聞きしたいのですが…」
 
 「あぁ、フセインから聞いていますよ」
 
 ちゃんと私のことを伝えてくださったとわかり、ホッとした。
 
 「僕は数年前まで那須に住んでいてね。ちょうどそちらに行く用事があるから、その時にお会いしましょう。宝石も持っていきますよ」 
 
 望外の言葉だった。
 全く知らない人と会うことには不安もあったが、5日後、私の自宅近くのカフェでお会いすることになった。
 
 秋晴れの爽やかな日。お気に入りのエメラルドブルーの薄いカーディガンを羽織って出かけた。
 
 ご夫婦が2人でやっている小さな落ち着いた雰囲気のお店で、コーヒーを飲みながら話をした。那須に住んでいたと言われていた通り、私よりもこの地域のことをよくご存知だった。
 
 もともとは商社マンで、30年ほど前に空港で偶然フセインさんに出会って以来友達になり、今は日本でフセインさんが宝石を販売するのを手伝っているとのことだった。
  
 「車に積んで持ってきているから、ちょっと待っていて」
 
 お互いの自己紹介を一通り終えたあと、そう言って川本さんは車からいくつものアタッシュケースを台車に積んで持ってきた。
 
 ケースを開けると、中には美しい宝石がたくさん入っていた。
 
 サファイア、ルビー、アクアマリン、シトリン、トパーズ、ガーネット…。
 
 スリランカはシルクロードの時代から良質な宝石の産地で、エメラルドとダイヤモンド以外のほとんどの宝石が採掘されるという。それらは非加熱宝石で、採掘された後、カットと研磨以外は手が加えられていないナチュラルストーン。スリランカ国内では、宝石に人工的な処理を加えると逮捕されてしまうのだと、このとき教えていただいた。
 
 フセインさんいわく、川本さんが持っている宝石は「小さくて安い」とのことだったが、私にとっては大きくてとても高価な宝石だった。「この宝石でジュエリーを作ると、とても高価になるなぁ…」と、なんとなく考えていた。
 
 別れ際、川本さんは言った。
 
 「手伝えることがあったら協力するから、困ったことがあったら電話してください」
 
 初対面なのに、そんな感じがしないくらい自然に、そしてあまりに親切なお言葉をかけていただき、信じられない思いだった。
 
 川本さんとお別れしてから、自宅に帰り、この数日間のことを振り返った。
 
 自分にとっては、ちょっと大胆な行動をしてしまったけれど、心の中で思い描いていた「スリランカとジュエリーブランドをつくる」という夢に少しだけ近づいたような気がした。
 
 何かに導かれるように、自然な流れで物事が進んでいく。不思議な感覚だった。
 
 ただ、目の前に道は開けたが、その先へどう進んだらいいのかが、見当も付かない。
 
 ここからどうしたら、ジュエリーブランドをつくることができるのだろう。
 
 どこからどう始めたらいいのだろう…。
 
 誰も教えてくれないのだから、自分で見つけるしかない。
 そう考えながら、ネットや本で関連することをとにかく調べ続けた。
 
 次の道しるべを探すために。