フラワーモチーフジュエリーブランド

セレンディップジュエルの

天生目理香(Nabatame Rika)です。

 

このブログは、今落ち込んでいて、

出口が見えない人に読んでいただきたくて

書き始めたパーソナルStoryです。

 

 

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セレンディップの宝石(40歳どん底Ns.がジュエリーで輝く2620日⑯)
 
 
 ほんの少し日差しが弱まり、秋の気配を感じ始める季節になった。
 
 英語の勉強を始めて1年が過ぎようとしていた。
 
 歴史ある趣の建物の前に車を止め、少し緊張しながら中へ入った。
 
 親友のエリちゃんと、その知り合いの方と、そこで待ち合わせをしていた。その方は、地域のある施設を運営されている年配の男性で、「知人の知人」がスリランカの宝石商とのことだった。
 
 エリちゃんは、いつも何かと気にかけてくれる。この時は、「名刺を渡すといいよね」と、そんなことまで教えてくれた。
 主婦だった私は名刺なんて持っていなかったから、前日に自分で作った。
 
 「初めまして、天生目理香(なばためりか)と言います。エリちゃんの友達です。スリランカに興味がありまして…。スリランカの宝石商の方とお知り合いとお聞きしたので、ご迷惑と思いつつも、ご紹介いただけたらと思って、本日うかがってしまいました」
 
 今思い出しても本当に恥ずかしいくらい、要領を得ない変な挨拶をしてしまった。
 
 「セレンディピティ」の夢を見て、スリランカの宝石を使ってジュエリーブランドをつくりたくなった…なんて、いくら何でも言えなかった。しかも、まだ何の計画も実績もない。
 
 「知り合いって言ってもねぇ、私の知り合いならすぐに紹介できるんだけれど、私の知人の知人だからねぇ…」
 
 初対面の、どこの誰ともわからない私の挨拶に戸惑われていたのが良く分かった。
 
 その後1時間ほど、この方の仕事やスリランカの宝石商さんとのつながりの話などをうかがいながら、私自身のこともできるだけ率直に、正直にお話した。
 
 それでも、まだ考えているご様子だった。
 
 「そりゃそうだよね。本当に申し訳ないお願いをしている」。そう思いながらも真剣に話を続けた。最後は、エリちゃんからもお願いしてくれて、どうにか私をスリランカの宝石商さんに紹介していただけることになった。
 
 エリちゃんの力はいつも本当にスゴイと思う。
 
 それから数日後、この男性から連絡をいただき、知人の方の別荘でスリランカの宝石商さんにお会いできることになった。
 
 その日は雨だった。
 
 夕方、男性と待ち合わせをして、その別荘に向かった。スリランカの宝石商さんは那須烏山を観光し、別荘に宿泊されるとのことだった。
 
 「コンニチワ~」 
 
 「初めまして、天生目理香と言います。突然にすみません…」
 
 スリランカの宝石商、フセインさんから日本語で最初に挨拶をしてくださった。フセインさんは日本語がとても上手。そして、ジェントルマンだった。
 
 私は、唐突に無茶なお願いをして、全く知らない方の別荘にまで来てしまったことを詫びながら、一生懸命、話をした。
 
 「スリランカの宝石でジュエリーを作って売りたいんです。どうしたらできるでしょうか?」
 
 夢中でたくさん話したけれど、言いたかったことはこれだけだった。
 
 本当に唐突な私の話を聞きながら、フセインさんは普段扱っている宝石をたくさん見せてくださった。
 
 大粒のサファイア、アレキサンドライト、キャッツアイ、パパラチアサファイア。日本では見たこともないような大きな宝石だった。けた違いの値段と美しさに呆然としてしまった。
 
 
 
 「宝石を売りたいなら、やってごらん。スリランカに来たら案内してあげますよ」
 
 でも、私が想像していた宝石は、もっともっともっともっと小さな宝石。
 
 「もう少し小さくて安い宝石でいいのですが…」
 
 そう言うと、フセインさんは埼玉に住んでいる30年来のご友人の連絡先を教えてくれた。「スリランカの小さくて安い宝石を扱っているから」と。
 
 手探りだったジュエリーブランドの立ち上げに、光明が見えた気がした。
 フセインさんと、この別荘の主の方に何度もお詫びとお礼を伝え、別荘を後にした。
 
 数日後、緊張を感じながらiPhoneを手に取った。
 
 これまでとは違う大胆な自分の行動ぶりが、少し不思議にさえ思えた。