マスオの涙 | RYUの生き方、逝き方

マスオの涙

昔、友達以上恋人未満の女性がいた。

彼女は少し前まで妻子ある男性と不倫関係にあり、

俺に出会ってから(俺がいたからという意味ではない)関係を清算した。

それでも不倫癖で決してお互い独身なのに「大好き」とか自分の感情を我慢して言わない女性だった。

俺は褒められて伸びる男子なので、そこが不満だった。

そして彼女はどこか学級委員長か生徒会長みたいな、いい子ちゃんの匂いがした。

俺は少し影があり結構やんちゃな女性が好きなので、恋人未満止まりだったのかもしれない。

彼女がある日「私、サザエさんが好きで毎週見てるの」と言った。

何か文部科学省推薦みたいな健全な匂いのするサザエさんが俺は嫌いだった。

からかってやろうと思い「あの家族はみんなが少しだけ嘘をつきあって成り立ってる家族だよな 笑」

というと彼女は「なんで面白いのに?」と不満気に言った。

そこから先は理由も何も考えていなかったが、

適当に「サザエさんちは、毎年家族でお正月迎えているが、マスオの家族の寂しさ考えた事あるのか?マスオは涙こらえて笑ってるんだぞ!」

「だいたい『今年はあなたの実家で過ごしましょ!』と言わないサザエのエゴイズム、それを進言しないサザエの親も親だ!」

と言うと彼女はマジメに納得していた。

そんなマジメに納得されると思っていなかったので、こっちが戸惑った。

そうこうするうちに、別の気になる女性とドライブした事があった。

俺のクルマを彼女に運転してもらいながら、助手席でリクライニングを倒して俺は「なあ鹿末(かのすえ)俺の事好きか?」と聞いたら、速効「大好きです!」と小声ながら力強く言ってくれた。

大好きに飢えていた俺は、彼女を選んだ。

この女性が生涯忘れられない女性になろうとは、その時はまだ気づいていなかったが、、、。

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