「追い詰められた男」ちょうどその言葉が彼に当てはまる。
あらゆるものが彼を彼を圧迫する。
その圧迫を弾き返す勇気が彼には欠けていた。
人間が存在し、その存在を彼は否定出来ないにもかかわらず、
その人間の不条理が我慢できないのだ。
彼が社会を理解出来ないように。
社会も彼を理解出来ない。
その理解出来ない人間同士が一緒になって時を過ごすのだ。
全く空虚な時を。
その空虚な時の中に身をさらして、彼は号泣したいような衝動に駆られる。
逃げ出したいのに逃げられない苦しみが彼の身をさいなむ。
そして彼の脳裏を「死」への渇望が支配していた。
