耳のない猿(超短編小説) | RYUの生き方、逝き方

耳のない猿(超短編小説)

群れから追い出され,ただ一匹暮らしている離れ猿がいた。

これは一匹の大きな牡の猿で、群れを率いる牡にも十分匹敵する腕力を備えているが、どうしたのか左の耳が噛みきられている。

群れに入ることを許されぬ彼は,林間の隅にうずくまって見え隠れする群れを遠方から見つめている。

その顔には孤独者の影がある。

いつごろ、どんないきさつから彼が群れを追われたのかは謎であるが、やがて黙々と一人寂しく立ち去ってゆく耳のないこの猿の後ろ姿は、哀愁をまとっていた。

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