08Ver RINA | RYUの生き方、逝き方

08Ver RINA

女優って女が優れていると書くでしょ。

でもね、演技は自分に欠けているものを埋め合わせる過程で成立するものなのよ。

たとえば涙するシーンでは役になりきって涙する女優と悲しい事を思い出して涙する女優に分かれるわ。

私は前者だわ。

後者はフェイクよ。

もともと虚の世界を虚で演じては断じて駄目なの。

脚本家は無から人を創り出すわ。

本を貰った時、脚本家の創った役をそのまま演じてはいけない。

一度その役を自分の中でジグソーバズルのように分解するのよ。

デジタル化と言ってもいいわ。

そしてまた組み直すのよ。

これが役との取り組みね。

この作業の為に女優はギャラ貰ってると思うわ。

大事な事は分解しても脚本家の最初の原画を忘れてはいけないの。

最初のジクソーのピースはね、「この人どんな香りだろう?」と考えるの、私はね。

スクリーンにはもちろん出ないけど一番大切な事なの。

港町には港町の香り。

漁村には漁村の香りがあるでしょ。

人にもあるのよ。

特に女には。

香りが。

ギャルソンがやって来てウ゛ーウ゛のグランダムを、さりげなく注ぎ足した。

女優はギャルソンが見えないような態度で完全に無視をした。

ヨーロッパで育ったのか?

あまりにも無視の仕方が自然なのでそう思った。

この女は炎天下でも完全に汗腺まで制御でき、ドリアンを食べても無臭の吐息をする気がしてきた。

そして男の好意より発情を促す何かを持っていた。