我が渾身の「走れメロス」 | RYUの生き方、逝き方

我が渾身の「走れメロス」

某月 某日。

娘Mとタクシーに乗っていた。

Mが聞く。

『お友達の美咲ちゃんが「走れメロス」の真似ですって言って「走れペコ」っていう紙芝居してくれたんだ。ペコは美咲ちゃんの飼ってる犬ね。面白かったんだけど「走れメロス」ってどんなお話?』









キターーーーーーーーーーーーーーーーッ。





俺はこの時を待っていた。

待ち焦がれていた。

俺の幼少期、母はピアノしか見ていなかった。

「お母さん、野球教えて!」

「自分で調べなさい」

「お母さん、将棋教えて!」

「自分で調べなさい」

で終わってた。



俺は母とは違う!!!

あんな思い娘にさせるものか!

Mよ!

お父さんは「北斗の拳」が流行った時まだ大阪の私学の学生だった。

親友のモリが帰りの電車でアチョ、アチョ、言いながらジャンプを読みふけっているとき太宰治を読んでいたのは伊達じゃない!!!

「おっ、お父さんが話してあげるよ!」

頭のスーパーコンピュターが最速のCPUで考える。

「大人の集中力は15分だ。これは心理学で立証されている。だからロッキー①の格闘シーンは15分に編集されている。10歳の子供はどうだ。よし7分で話そう。」

そしてGショックのストップウォチのスイッチを入れる!

カウントが始まる。

なるべく平易な言葉で話し始めた。

ちゃんと抑揚をつけ。

精一杯話した。

自分でも再感動してきた。

最後声が少し涙声になる。

でちょうど7分経過。

話し終えた。




M「なーんだ犬の話しじゃないんだ」

興味無さげに車の外見つめ「あっ!ボルゾイだ!!」とか犬好き娘は言っている。

「ミィ、ミィ、ミスったか???」



もう少し平易に話せば良かったのか???



そこで後ろの車がクラクションを、けたたましく鳴らした。

我にかえりふと外を見ると乗っているタクシーが徐行している。

前に車はいない。

見ると運転手さん、眼鏡をとってタオルで目頭素早く押さえてる。



俺の脳裏に一つの軍事用語が浮かんだ。









「誤爆」







運転手さん、いきなり「60年人生、生きてきて、初めて聞きました。いい話しじゃないですか(涙)」


「その本、本屋にありますか?何て本でしたっけ?」

『はぁ、はぁ、太宰治の「走れメロス」です。大型書店なら必ずありますよ。できれば単行本で読まれる事をお勧めします。(何お勧めしとんねん!)行間を読めるからです。(それはおまえの独断やろ!)短編なので他の小説とセットになってるはずです。』

M素知らぬ顔で

「お父さん、何の話ししてるの?私、竹園のお肉食べたくなってきた!」

「うっ、うっ、運転手さん、ホテル竹園行って下さい。。」



父親は辛いものである。


皆さんの魂の一冊教えて下さい。

漫画もありです。