死に向かうベクトルⅡ | RYUの生き方、逝き方

死に向かうベクトルⅡ

前向き指向が通用しない極限状態の人に向かい、俺は「前向きにね!」という言葉を封印した。

では、どうしているか?

慈悲の心で接しているつもり。

未熟だけど。

では慈悲とは何か?

五木寛之氏は、すごい!

簡単明瞭に書いている。

長い引用になる。

「孤立した悲しみや苦痛を激励で癒す事はできない。そういうときにどうするか。そばに行って無言でいるだけでもいいのではないか。その人の手に手を重ねて涙をこぼす。それだけでもいい。深いため息をつくこともそうだ。熱伝導の法則ではないけれど、手の温もりとともに閉ざされた悲哀や痛みが他人に伝わって拡散していくこともある。」

後は息子が罪を犯し刑に服する事になった両親の立場で慈悲を解説している。

慈に満ちた父「罪を償って再起して社会に帰ってこい。いつもまでも待ってるぞ。」

悲の心の母。ただ黙ってそばで涙を流して「おまえが地獄に堕ちていくんなら自分も一緒についていくよ」という気持ちで手に手を重ねてうなだれている。

そして「じつはこうしたことが人間の奥底に一番届くのです。」と結んでいる。

「大河の一滴」五木寛之、幻冬舎

見事だ!

この本税抜きで1429円。決して高い買い物ではないと思う。