ハローワークに行くと、多くの若い人たちが職を探していることを実感する。

そして容赦ない I T 化の波に取り残されて、求人情報を得ることすら困難になってきた高齢の求職者があることも、また事実。


数ヶ月で初老に突入しようかという我が身に重ねると、このナイロンザイルの心臓にも、悲哀が突き刺さるねえ・・・



さて。

姉の友人が数年前、会社をリストラされてしまった。


日本人離れした美人さんで、姉は彼女を < 姫 > と呼んでいる。

学んで得たCADの技術を活かしての再就職も、早や3年目を迎えた年のことだった。


会社のトップが代替わりし、本社の専務が長崎支社の社長となって赴任。

その出社初日に新社長は、CADを引きながら事務もこなす姫の書いた直筆の書類に目を通した。


姫は見た目の派手さを裏切る古典派で、華道や書道も有段者。

職場に飾られる花も、毎朝、姫が活けている。

姫が入社してからというもの、職場の雰囲気は一変して華やかになったという。


が、姫は新社長赴任から4日目に、突然リストラを言い渡された

もちろん本人にも他の社員にも、姫が会社をクビにならなければならないような理由は思い当たらず、まさに青天の霹靂であった。


理由は、新社長が直接、姫に伝えたという。


いわく


これ以上居てもらっちゃ困るんだよねえ。 きみの文字には、邪気があるから








姫はニッコリ微笑んで、速やかにその事実を労働基準監督署に持ち込んだとさ (--)