確かに初乗りである。
年の瀬が押し迫ってからの買い物も、年始のついでに出掛けたのも、元日から映画に行ったのも、ぜんぶ自分以外のクルマだった。
あったかい助手席でのうのうとしていたのを責めているなら、そりゃ甘んじて受けようとも。
しかし、お願いだ。
エンジンくらいかけてくれ。
セメント張りの車庫で、ガリガリと激しい音が響き続けるのは心臓にもあまりよろしくないだろう?
どうなだめすかしても、愛車である、ペー・・・プレセアはウンともスンとも言わなかった。
仕方がないのでJAFを呼ぶ。
おぢさんは根気強くキーをまわし続けて、プレセアのご機嫌をとることに成功した。
「 故障でもバッテリーの問題でもないようですね。ガソリンを飲み込みすぎてるって言った方がいいのかな・・・アクセルを半分踏んでみたりしながらかけてみるといいですよ 」
・・・さんざんやってみた結果、おぢさんがココへ呼ばれてるんですけど・・・
心で主張しながら、顔ではにっこり。
「 1時間くらいエンジン切らずにいてもらってですよ、もしまたかからなくなったら、いつでも電話してくださいね 」
おぢさんは優しくそう言って去っていったのだった。
ええ、それから1時間以上、ドライブしつづけでしたとも (--)