毎週土曜日の仕事に欠かせない人間、それが第九の合唱を指導する講師である。

今日は、昨年のこの指導に大きく関わってくださった M さんが、諫早の練習会場に見学に来てくれた。


M さんはソプラノの声楽家である。


昨年、第九指導も終盤というときに乳癌が発見され、ご本人は後ろ髪をひかれながらも、急ぎ手術のため上京し、本番にタッチすることができなかった。

でも発見と判断が早かったおかげで、術後の回復も早く・・・もちろん癌なので定期的な治療はあるのだが・・・2ヶ月ほど前に帰宅し、少しずつ音楽活動を再開している。


合唱指導の仕事のあと、M さんと昨年も合唱に参加した人を交えて食事会をした。

わたしは夕方から大村会場の指導もあるので食事をご一緒するのみで、皆をホテルまで送り届けてから別れることになっていた。

皆はその後、ホテルのラウンジでさらに歓談を続けたことだろう。


M さんが泊まるそのホテル、じつはわたしが長年勤めたところだった。

もちろん事前に M さんたちにそれを伝えていたわけではなかったし、ホテル側にも特別な連絡はしていない。

ただ、お泊りになる声楽家のお客様をお連れしたのがわたしであるということには少なからず驚いたらしく、久々の再会に手を振りながら近づいてきては

「 ・・・どういった知り合い? 」 と恐るおそる聞いてくるといったカンジだった。


M さんとは、かたい握手をして別れた。


「 この先も必ず連絡して。わたしも何かにつけ連絡をするから。もう仕事相手ではなく、あなたとわたしは友達なのよ、タイタンさん 」


音楽に明るくないわたしが、嬉しい言葉を頂戴した。




縁は異なもの。


しかし、生命ある限りは、どんな異質な小さな縁も大事にしてゆきたいという思いは、最近になってとくに強くなってきたような気がする。


この、光る画面を通して知り合った、あなたとの縁も。