月がすきだ。

子供のころから、月を見つめていると気持ちが落ち着いた。

大人になってからも、月を見つめていると時間が経つのを忘れてしまう。

たまごいろの月も冴えた蒼い月も、惹き込まれそうにまるい月もグレープフルーツを割ったような半分の月も、ネコの爪のように細い月も一振りの刃のような妖しい月も、どれも月の姿に変わりはない。


これから冬へ向けて、日々、大気が澄んでくる。

ベッドから珈琲の湯気をたのしみながら宙を見上げる時間がどんどん増えるシアワセ。