in vino veritas -171ページ目
夜更けに、久しぶりに彼の夢を見ました。
ものすごく好きだった人で、もうずいぶん会っていない人。
なんだか幸せなような、心細いような、ペールカラーな薄ぼんやりとした情景の中で、私が何か飲み物を彼に手渡しているところで唐突に目が覚めました。
この感じ、雰囲気、何かどこかで知ってる…なんだろう??
寝惚けた頭で記憶を辿って、思い出したのがこの曲。
悲しい詞ですが、切なくて、ほんのり苦い名曲だと思います。
もう1度眠りを捕まえる事ができたなら、また彼に夢で会えるだろうか?
そう思って、彼の姿を思い出そうとしてみても、スラリと伸びた腕や脚、真ん中だけツンツンした髪の毛、優しく笑った目、薄い唇、きれいに焼けた肌、おっとりした口調、心地よい声……あんなにも愛おしかったパーツのひとつひとつは思い出せるのに、全体像があまりにもぼんやりとしか浮かばず……
あまりにも近い距離でいつも見つめていたせいかもしれない、と気づいたらなんだか苦しくて、居ても立ってもいられなくて。
私の睫毛や鼻が、首筋や頬に当たって、「近いよ」って苦笑するあなたを思い出して、ひとりで笑ってしまいました。
もう涙は出ないけれど、あなたにもう恋をしていない私は、まるで私ではないような気がして。それが悲しい。
心が離れているって分かっていたのに、なかなか自由にしてあげられなくてごめんなさい。
私の我儘に嫌な顔をせず付き合ってくれた事、本当に感謝しています。
泣いた顔や悲しい顔はあなたにだけは見られたくないから。
いつかここを見つけたら、そっとあなたから手を離した私を、いつもみたいに太陽みたいな笑顔で見送ってください。
あなたの自由で大らかな魂を、今でも愛しています。

