13年目で看護助手を辞めて
2年無職を経て
脳外科病棟に
夜専属で復帰して6カ月
10年前からの
窓際の彼は事情があり
まだそこにいた
復帰した時に
私わかる?と聞いたら
唯一動く右手で
返事をしてくれた
補充で伺うと
必ず文字盤を指差すけど
時間が取れない
何度か試みるも長文すぎて
文字が繋がらず挫折
言いたいことが伝わらない悲しさ
言いたいことが読み取れない辛さ
今日看護師さんから
なにか話したそうだから
聞いて上げてほしいと
私に白羽の矢が立った
けれど読み取れない事が続き
足が重かった
消灯後まっくらな病室
彼の所に行き保安灯を点けると
文字盤を指差す
文字盤を近づけて
指を追いながら
文字を声にだしていく
こ.し.に.あ.る.の.ま.く.ら.を.と.っ.て.つ.く.え.の.う.え.に.お.い.て
腰にある枕を取って机の上に置いて
そう言うと
右手でそうだよと返事
伝わって彼が嬉しそうだ
そしてまた文字盤を指差す
その指は⚫️の所で止まった
薄暗い灯りの中で目を近づけると
それは
「ありがとう」マークで。
ひさしぶりに
彼の言葉を読み取れた私は
なんだか泣けて泣けて。
私こそありがとう。
真心のお仕事がんばります
