稚瀬布発20時40分 | 弐位のチラシの裏ブログ

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 久しぶりのミステリーを読みたくなって、漫画の月舘の殺人の読書開始!


 汽車を見に来た親子が、写真を撮るため場所取りをしていた鉄オタたちとトラブルになり、父親が崖から突き落とされてしまう・・・
 子供が父親の安否を心配している横で、鉄オタたちは夢中で、汽車の写真を撮り続けていた。


 沖縄の那覇で暮らしている高校生の雁ヶ谷空海(かりがや そらみ)は、両親を亡くして天涯孤独の身の上だ。
 空海の母親のみずほが異常に電車を嫌っており、空海が友達とモノレールに乗って遊びに行く予定があったり、修学旅行で電車に乗る予定があったりすると、母親は仮病を使って、母親の看病という名目で空海の予定を潰していた。
 おかげで、空海は生まれてから一度も電車やモノレールに乗ったことがないのだ。


 空海の母親が死んでから2か月経った頃、空海の家に、北海道から弁護士の中在家(なかざいけ)が訪ねてくる。
 みずほは空海に身寄りはいないといっていたが、実はみずほの父親が生きていたのだ。
 中在家から、財産相続の件で空海に相談したいことがあるので、北海道に来てほしい、と祖父が言っていると告げられた空海は、了承する。


 空海は飛行機で新千歳空港に向かうが、飛行機に乗るのが初めてだったので、なかなか到着ロビーに現れず、出迎えに来た中在家をやきもきさせてしまう。
 やっと合流できた空海は、中在家が運転するセルシオに乗って、祖父の家に向かう。
 車中、空海が中在家に母親と祖父の確執を尋ねると、事業で成功していた祖父の興味は家庭の外にあったため、みずほは家を出て東京へ行き、そこで結婚し、夫の死後に沖縄に移り住んだ、と教えてくれる。
 しばらくすると中在家があせりだし、20時40分発の列車に間に合わない、と言い出す。
 空海が時間通りに来なかったことと、大雪のせいで運転が慎重になっていることで、時間が押しているのだ。
 あせって運転する中在家は、急に飛び出してきたアライグマを避けようとして、道路横の雪に車が突っ込んでスタックしてしまう。


 そこへ偶然車が通りかかったので、中在家は運転手の青年に、稚瀬布(チセップ)20時40分発なので、空海を連れて行ってほしい、と頼む。
 青年は、ゲンヤ号に自分も乗るから、と言って、空海を車に乗せてくれる。


 青年は日置健太郎(ひおき けんたろう)と名乗り、空海からは大学生くらいに見えた。
 空海が青年を観察すると、結婚指輪はしておらず、ケータイに新幹線のストラップを付けており子供っぽい印象だったが、腕時計は趣味がいいものだった。
 カーステレオからは、8時10分のニュースが流れており、昨日、また連続殺人の被害者が発見された、と報道されていた。


 稚瀬布駅についた空海と日置は、切符を車掌に見せる。
 空海が生まれて初めて手にした切符には「幻夜乗車券 12月25日20時40分 乗車駅稚瀬布→下車駅月舘 5号車7番」と書かれていた。