重なる想い 27 | 櫻の葉色

櫻の葉色

左利きマジョリティ

「腐」です。


苦手な方は、回避願います。






【J】




落ち込んだ気持ちをどうにかしたくて、まだ洗濯していないまーが朝まで着ていたスウェットを持出し抱いて、ある筈のないまーの温もりを探す。



昔は、寄ってくる女の身体で紛らわそうと試みた事もあった。



豊満な胸と尻、細い腰、柔らかい肌。



どれも好物だった筈なのに、まーの事を意識し出してからは一切反応しなくなった。




自分がこれ程迄に正直な身体なんだと苦笑するしか無かった。




逆に、まーの事を考えればあっさりと簡単に反応してしまう身体。


ただ吐出したくて、似ても似つかない身体相手にまーを無理矢理重ねた事もある。




当時はメンバーであり、仲間である人間に欲情する自分自身を心底軽蔑した。




単純に嫌だった。



出来れば認めたくなかった。



仕事をする上で、この感情は邪魔だと思った。




……だから……、、


まーを嫌いになれば良い。




浅はかな考えで、態とまーを傷付ける言葉を何度も吐いた。



だけど、無理矢理に感情を否定すればする程心臓は窮屈に音を立て怒鳴り、アンバランスに崩れた感情は仕事をする上で逆に支障となって、結果としてまーを、自分自身を、そして周りにいる皆を苦しめた。




……こんな事…全然意味が無い…。




……そう…気付いた時には、


既に翔さんがまーの傍にいた。




……何だったんだよ。




俺が必死になって抑えていた想いを、簡単に踏み躙られた気がした。




まーの事が好きだ。




自分の心に素直になってみれば、途端に何もかもが上手く廻った。



あれ程仕事に支障が出ると思っていたのに、まーを好きでいる事を心の中で肯定すれば、あんなにも複雑に考えていた自分が嘘みたいに楽になった。




まーの隣で笑えるようになった。



周りにも優しくなれた。



まーと一緒にいれば、こんなにも簡単に世界が変わるんだ……。



嬉しくて涙が溢れた。