人間は寝たきりになると、
運動しなくなるので筋肉を使わなくなります。
使わないものは、いらないもの。
体はそう判断して、筋肉を分解してエネルギーに変えます。
だから寝たきりのお年寄りをお見舞いにいって、
腕をつかんでみると、
ふかふかとした脂肪だけになっている。
筋肉の弾力はなくなっているはずです。
もう筋肉は分解されているから。
寝たきりの人間に必要なのは、内蔵を動かすエネルギーであって
行動や動作をするための筋肉は必要なくなるのです。
悪い細胞を捨てて新しい良質な細胞に作り替える、
『新陳代謝』は、十分な筋肉量がなければ正しく行なわれません。
とても矛盾しているように思うかもしれませんが、
『寝たきりの人こそ、筋肉が必要』なのです。
そう、
『寝たきりになる前に、筋肉をしっかり付ける』ことが、
元気でい続けるためにとても大切な事。
筋肉が無くなった時、それはもう、
二度と前の生活ができなくなるということと等しい。
農家のお年寄りは、背中や腰が曲がっていても、
テクテクと遠くまで歩いていきます。
筋肉がしっかりしているからです。
親が歳をとってくると、
どこかでこけたり、骨折したりするといけないからと思い、
あまり外出をして欲しくないと思います。
それは一理ある。
それならば、
・自宅の中でやれる
・いつでもやれる
・転倒や骨折の心配も無くひとりでもやれる
・体の中で最も大きな筋肉を使う
・カロリーの消費が大きいので食欲がわく
・食べて運動を繰り返すので新陳代謝の効果が大きい
そう、スクワットこそを勧めます。
スクワットができる体力があるうちに、
スクワットをしてほしい。
これができれば体がしっかりする。
歩いてもきつくなくなる。
歩ける事が楽しい。色んな風景が見れる。
人に会いにいける。買い物に行ける。
そういうことはスクワットが解決してくれます。
膝が痛い、無理、向いてない、
そう思う人は、
痛くならないフォームを勉強すべきであって、
やらないための言い訳をするべきではない。
うちの親父が寝たきりになったとき、
僕は、親父が大好きだった庭先を歩く事をすすめた。
家族は反対。
どこかに歩いていってしまって怪我をされるのが恐いと言った。
病院でリハビリをしてもらおうと思っても、
他人に子供扱いされたり、
弱者として接せられることが嫌いな親父は、
トレーナーの言う事を聞こうとしない問題爺だった。
そして
筋肉が体から消え去ってしまう前に、
しっかりとスクワットをする習慣を付けてやれば良かったと
後悔しました。
いつのまにかもう、スクワットができなくなっていた。
もう親父は死ぬんだな。。。と僕が覚悟したのは、
親父のふくらはぎの筋肉が、
『親指一本分』くらいの大きさに萎縮していたのを知ったときです。
ここまで小さくなった筋肉ではスクワットどころか立つ事もできないだろうし、
文字通り骨と皮と、内蔵だけになってかろうじて生きている親父が
もう立って歩く事は不可能なのだという事を認めざるを得なかった。
辛かった。
全身の筋肉はすべて無くなっていた。
まるで綺麗に食べられた魚の様に、
完全に骨だけになっている親父の胸元のあばら骨を見たときは
『人間が生きたままこんなになるものなのか』と驚いた。
筋肉がほぼ体から完全に消滅したので、
内蔵は次に脂肪を分解してエネルギーを吸い取っていく。
おやじの耳たぶはすでに分解されて中身が無くなり、
ぺちゃんこになった皮だけが耳の下にひらひらしていた。
かわいそう。。。よりも、
恐かった。恐くなった。
母親や弟や、
恋人、友達、そしてもちろん自分自身も、
もう同じ姿にならないようにしなければ。
そう強く思ったのです。
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