ロッキーは、もう30年も前の映画。
 

スタローンがたった三日で書いた脚本。

製作会社はそれを気に入って、

アルパチーノかポールニューマンを主演にと言ったが、

スタローンは自分以外に、

そのストーリーは表現できないと突っぱね、

何度も決裂しながらも、獲得した。
 

条件は、超低予算。

エキストラにはポテトチップスが与えられただけだった。
 

命を燃やして、本当の栄光を手にしたロッキーのストーリーは、

大絶賛され、アカデミー賞を獲得した。
 
 

最後と思われたロッキー5は、

自身が製作しなかったため、

スタローンは、

自分そのものである、

ロッキーという男のラストを作りたかった。
 

それがロッキー・ザ・ファイナル。
 

もう老人に近づいたロッキーに、

チャンピオンからのエキシビションの申し込みがあった。
 

誰もが、なごやかな、

そして、少し滑稽な、

そんな試合を楽しみに、待つ。
 

だがロッキーは、自分の一人息子に、

教えきれなかった、

男の生きざまを見せるため、

また、その命をもやす。
 

ボクサーという、過酷な生き方を見習わなかった息子に、

ほっとしながら過ごした時間。
 

だが、ボクシングだけしかない自分には、

何も教え、伝えることがないことに気づいたロッキー。
 

アメリカで一番強い父を持ち、

年をひとつとるごとに、

越えられぬそのプレッシャーから逃げるように生きる息子。
 

みっともない、滑稽な姿をさらされたくないと、

初めて、息子は偉大な父にたてついた。
 

そのシーンは、

心と心の殴り合いだった。
 

父は、アメリカで一番強い言葉のパンチで、

息子をたたきふせる。
 

だが、息子にはやはり、

同じ熱い血が流れていた。
 

父と息子は、心の拳を交わして

はじめて互いに成長したのだ。
 
 

何のために、男は生きるべきか。

父は息子に、何を伝えられるのか。

世界中の父と息子に見てほしい珠玉の名画だ。
 

そして自分も、

父から何を託されたのか、

その思いを汲み取るべき年齢になったんだなと思う。
 
 

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