“多裂筋と股関節外旋”について
多裂筋は横隔膜、腹横筋、骨盤底筋などと共に腰部の腹腔内圧上昇に重要な働きを担っている筋とされている一方で、腰痛患者の80%は患側の多裂筋が萎縮しているとされており、筋スパズムの発生によって腰痛の原因筋となることも知られています。
そこで多裂筋の解剖・機能をもう一度確認していきます。
解剖
走行形態に着目して6つの線維群に分けられ、各腰椎棘突起、椎弓から尾側の腰椎、仙骨、椎間関節包に付着します。
触診をする場合は、第3腰椎以下において脊柱起立筋よりも多裂筋の占める割合が多くなるため、棘突起の外側を触診すると触れる事ができます。
機能
多裂筋(L4-5)は体幹伸展モーメントの20%を担っているとされているため、伸展による動的モーメントよりも分節的安定性の機能の方が大きいと言われています。
そのため、起始停止間の距離が長い線維は曲げ作用が強く、短い線維は回旋作用が強いとされています。また、仙骨に付着する線維もあるため仙腸関節の安定性にも関与するとされています。
主な作用は、両側同時収縮で体幹伸展、片側収縮で同側側屈、対側回旋の作用があります。
以上より、
多裂筋は下部腰椎において、回旋作用で重要な働きを担っている筋と考えられます。
そのため、
一般的に行われる側臥位での股関節外旋トレーニングを行う際は、
右股関節外旋の場合は右多裂筋により下部腰椎左回旋のモーメントによる安定が必要となる為、下部腰椎の安定性を担う多裂筋の機能を意識しながら行う必要があると考えます。
次回は“多裂筋トレーニング”についてお話させていただきます。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。