日本人は民主主義を捨てたがっているのか? | Shaiya The Movie

日本人は民主主義を捨てたがっているのか?

映画監督である想田和弘氏の「日本人は民主主義を捨てたがっているのか?」を読んだ。

このなかで自民党が憲法改正でやろうとしていることの危険性について取りあげられていたので紹介したい。

そもそも私が自民党に対して持っている考えは、
他にいい政党がいないし、円安株高でまあいいかくらいにしか考えていなかった。
まあ、民主党がダメすぎたからしょうがない。

しかし、前述の本で取り上げられた自民党の改憲案を読んでみると、
この政党結構やばいかもと思うようになった。

現行憲法について、アメリカからの押し付け憲法であり、恥ずべきことだという人がいるが
私はそうは思わない。
押し付けだろうが、投げつけだろうがいいものはいいのではないだろうか。
現行憲法は、あの自由の国アメリカですら実現できなかった理想を
気鋭の若手憲法学者たちが作り上げた夢の結晶である。
たしかに、自国で拵えることができなかったのは些か残念ではあるが、
それが、この素晴らしい理想を切り捨てる理由にはならない。

マスコミが大衆迎合し、すなわち時の政権である自民党に対し物を言えなくなる中で、
自分たち自らが正しい見識を持つようにせねばならない。

さて改憲案の中身であるが、
まずは第13条
【現行憲法】
すべて国民は、個人としてとして尊重される。生命、自由及び幸福の追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

【自民党改憲案】
全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。

「公共の福祉」が「公益及び公の秩序」に置き換わっているところがミソである。
似たような言葉に思えるが、「公共の福祉」が「他人の人権を侵さない限り」をいう意味合いを持つのに対し、「公益及び公の秩序」が個人の人権に先立ち、「国や社会の利益や秩序」が大切だという意味合いを持つ点で大きく異なる。

つぎに第21条
【現行憲法】
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

【自民党改憲案】
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない。

この改憲案が実現してしまうと、政府は「公共及び公の秩序」を盾に国民や報道機関の「言論の自由」を堂々と制限することができてしまう。
まるで、戦前の治安維持法のようなものである。

この国の未来を決めるのは私たち自身の意志である。
私たちはよき選択を行わねばならないのである。


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