メキシコの出産システム

 

メキシコの病院では、ほとんどの場合「出産パッケージ(paquete de maternidad)」というセット料金が用意されています。

 

このパッケージには、入院・お部屋・分娩室(または手術室)・新生児の基本ケア・麻酔・薬・材料などが含まれるため、料金が分かりやすいのがメリットです。

 

ただし注意点として、パッケージ料金とは別に「医師の診療費(honorarios médicos)」が発生するのがメキシコの一般的な仕組みです。

 

医師の診療費には、

 

• 産婦人科医(メインドクター)

• アシスタント医

• 麻酔科医

• 小児科医

 

が含まれ、病院ではなく医師側に直接支払います。

この金額は病院や医師によって異なり、一律料金の先生もいれば、分娩と帝王切開で変わる場合もあります。

 

つまり、

 

✅ 病院に支払う「パッケージ料金」

✅ 医師へ支払う「診療費」

 

の2つを合計したものが、実際の出産費用になります。

 

今回は、アグアスカリエンテスにある

• Biomaterna

• Hospital MAC(北) ※南はまた内容料金変わります。

• Star Médica

 

の出産パッケージ内容と、医師の診療費の相場について、アサガオスタッフの経験も含め詳しく紹介します。

 

資料をご希望の方はアサガオ医療アシスタンスまで

asagao.mex2023@gmail.com

 

 

病院比較

高額医療保障(Gastos Médicos Mayores / 保険)に加入しているかどうかでも、支払い方法や負担額が変わることがあります。
保険が適用される場合、医師費用の一部または大半がカバーされることもありますが、免責金額(deducible)や自己負担(coaseguro)によって最終的な支払い額は異なります。

高額医療保障については、次の章で少し詳しく解説します。

 

⑴Biomaterna

✅ 料金(2025)

自然分娩:$8,500 MXN(24時間)

帝王切開:$11,500 MXN(30時間)

※ 医師の診療費(honorarios)は別料金
※ 時間を超えると1時間あたり150ペソ追加

 

▼含まれている内容(ポイント)
✅ 消耗品・薬剤がかなり細かく含まれる
✅ 新生児の保育室利用・インキュベーター使用(数時間まで)
✅ ママ用ナプキン、哺乳瓶、赤ちゃん用おむつ付き
✅ 分娩室 or 手術室利用、患者用食事あり

メリット

  • とにかく費用がリーズナブル

  • 細かな備品がセットになっているので買い足しが少ない

  • 個人クリニックのため、アットホームで日本人にも人気

注意点

  • 合併症や追加検査は別料金

  • 個人病院なので大きなNICU・集中治療設備は大病院より小規模

 

入院室のイメージ

 

 

⑵Star Médica Aguascalientes

https://cloud.mail.starmedica.com/aguascalientes/maternidad

 

✅ 料金(IVA込)※2025年12月31日まで

自然分娩:$34,800 MXN

帝王切開:$41,760 MXN

※医師費用は別料金

 

▼含まれる内容(ポイント)
✅ 新生児スクリーニング76項目
✅ 聴覚検査・先天性心疾患のスクリーニング
✅ ビリルビン検査
✅ 術前検査
✅ ギフトセット、祝賀ディナー
✅ 24時間看護・セキュリティ
✅ 母乳指導や沐浴レッスン

メリット

  • 大病院の安心感(設備・人員が充実)

  • 新生児の検査がとても手厚い

  • ママ向けのケアやサービスがホテル並み

  • 部屋ランクを選べる

注意点

  • 料金は民間病院の中でも高め

  • 予約金の返金不可

 

入院室イメージ

 

⑶ MAC Aguascalientes Norte

https://hospitalesmac.com/hospitales/hospital/aguascalientes-norte

 

✅ 料金

自然分娩:$17,560 MXN(36時間)

帝王切開:$20,600 MXN(48時間)

双子帝王切開:$26,800 MXN(48時間)

※医師費用別

 

▼含まれる内容(ポイント)

✅ 最初の24時間は薬・消耗品などの基本医療費込み
 → それ以降は「部屋代のみ」

✅ 新生児室の利用

✅ 陣痛室・手術室・回復室の利用(分娩方法による)

✅ 手術や処置に必要な基本的な薬品・医療器具

✅ 区域麻酔(硬膜外など)

✅ 心電図モニター

✅ 入院中の食事

✅ 部屋はスタンダードだが、空きがあればアップグレード可能

✅ 「Club Bebé MAC」の特典つき

メリット

  • 料金が明確で、入院費と基本処置が含まれている

  • 帝王切開・双子対応のパックもある

  • 新生児スクリーニングや母乳指導など、産後のフォローが充実

  • 空室状況によって部屋のアップグレードの可能性あり

  • 予約金(35%)を支払うことで費用が確定し、突然の高額請求を防げる

注意点

  • 緊急対応や合併症が起きた場合の追加費用

  • 赤ちゃんの検査や治療(基本費用以外)

  • 血液銀行・臍帯血バンク

  • 検査(血液、尿、エコー、X線など)

  • 入院時間超過分、追加の薬や消耗品

入院室イメージ

 

Biomaterna
こんな方におすすめ:
✅ できるだけ費用を抑えたい
✅ 最低限のケアでよい
✅ 合併症や追加検査が少ない予定
⚠️ ただし、追加料金が発生しやすいので、総額は人によって変動


MAC Norte
こんな方におすすめ:
✅ 料金のバランスが良い病院がいい
✅ 過不足なく標準的な医療ケアを受けたい
✅ 双子パッケージも選べる
✅ 追加が出てもそこまで大きくならない可能性が高い


Star Médica
こんな方におすすめ:
✅ 病院環境・サービス・設備を最優先したい
✅ 新生児検査を手厚くしたい
✅ 家族の滞在や快適さも重視
✅ コストより安心と快適さ
⚠️ 医師費用を加えた総額は一番高くなる可能性大

 


医師診療費(honorarios médicos)

メキシコの私立病院での 出産時の医師診療費(honorarios médicos) は、
病院の規模・医師の経験・出産の難易度で差がありますが、
Aguascalientes の相場として、だいたい次のような平均がよく見られます。

 

① 産婦人科医(Ginecólogo / Obstetra)4,000~18,000

② アシスタント(Asistente / Ayudante)1,000~6,000

③ 麻酔科(Anestesiólogo)3,000~9,000

④ 小児科(Pediatra / Neonatólogo)1,500~5,000

 

個人クリニックのほうが安め、大病院の先生や有名ドクターになるほど高め。

アシスタントは帝王切開の場合は必ず入る。

麻酔科医に関しては帝王切開で必要だが麻酔の種類や時間によっても変動。

小児科は生まれた直後の診察・APGAR評価・黄疸チェックなど。

 
担当の婦人科医が働きやすい先生方とチームを組んでいる場合は、担当の婦人科医へ全額支払い、先生方へのお支払いをお願いするスタイルが一般的。
 
合計で12,000~30,000ペソになることも。
 

先生によっては「自然分娩でも帝王切開でも一律料金」という場合もあり、
「25,000ペソで、産婦人科・麻酔科・小児科の診療費がすべて含まれる」
という、とても分かりやすい料金設定を提示してくれていた先生もいました。

一方で、別の医師は
「医師費用は20,000ペソ(産婦人科・麻酔科・助手込み)、小児科は別料金(自分で探してそれか当直の小児科へ依頼)」
と説明されたこともあります。

 

スタッフの出産時、有名な先生ではない医師へお願いし総額14,000ペソでした。
 

高額医療保障(Seguro de Gastos Médicos Mayores)を使うときの注意点

メキシコでは、高額医療保険を利用することで、出産費用の大部分がカバーされる場合があります。

ただし、病院に行って「保険あります」と伝えるだけでは自然に適用されず、事前準備がとても大切です。

 

 ① どこまでカバーされるかを事前に確認

 

同じ保険でも契約内容によって大きく違います。

ママの入院費だけ?赤ちゃんの費用も含む?(ご主人のみ加入のケースが多いです)

自然分娩と帝王切開で補償額が変わる?

医師の診療費も含まれる?

 

→ ここが曖昧なまま出産すると、後で高額請求になるケースがあります。

 

② 医師費用はパッケージに含まれないことが多い

 

上の方での書きましたが出産パックは「入院費」が中心で、

産婦人科医、麻酔科医、小児科医、助手の料金は別請求が一般的。

保険で医師費が出るのか、上限はいくらか必ず確認しておく必要があります。

 

③ 自己負担と割合負担

 

保険に入っていても、

最初の○ペソまでは自己負担(Deductible)

その後は一定%を負担(Coaseguro)

という仕組みになっていることが多いです。

 

結果的に、

「保険を使ったのに結構払った…」

ということが起こるため、必ず事前に確認を。

 

 ④ 事前手続きが必要な場合がある

 

保険会社によっては、

事前に書類提出

医師の領収書の形式指定

入院前の診断書提出

などの条件があります。

※これを忘れると「保険適用外」になってしまうケースもあります。

 

⑤ 支払いは一度全額立替え → 後で保険へ請求の場合も

病院が保険に対応していても、全額支払い、後から返金の方式になっていることがあります。

 

とくに帝王切開は金額が大きくなるため、カードの利用上限なども確認しておくと安心です。

 

 ⑥病院の指定

 

保険会社によっては希望する病院が対象外の場合も。対象か否かのチェックは重要。

 

経験談から感じたこと(Asagaoスタッフより)

実際に多くの日本人ママをサポートした経験や、当スタッフ自身の出産体験で感じたのは、
「最終的にどの病院が良いかは、設備より医療チームの経験で決まる」ということです。

ビオマテルナは口コミで知り合いから勧められ、正直、病院の見た目や設備は豪華ではありません。
レビューには「窓が汚れていた」「建物が古い」などのコメントもあります。

でも、医療サービスに関して悪い評価はほとんどなく、
実際に利用してみると、看護師さんが本当に経験豊富で、対応が素晴らしかったと感じました。

私自身、帝王切開後に大量出血が起き、担当医がまだ病院に戻れていない状況でしたが、
看護師さんたちが迅速に応急処置を行ってくれたおかげで、子宮摘出を免れるほどの危機を救ってくれました。

後から担当医師にも
「ビオマテルナは産科専門だけあって、看護師が本当に優秀。安心して任せられる」
と言われ、選んで良かったと心から思っています。

費用も最終的に

  • パッケージ + 医師費用すべてで 25,000ペソ弱
    と、多くのママにとって現実的な価格でした。

逆に、他の病院で同じようなケースになった方が、
担当看護師が産科ではなかったため、子宮摘出になってしまったという話も聞き、
医療スタッフの経験値がどれほど大切か痛感しました。

もちろん、スターメディカやMACなどの大きな病院は、
ホテルのように綺麗で快適に過ごせるという大きなメリットがあります。
それを選ぶ安心感もとても良い選択だと思います。


最後に

病院選びで一番大切なのは
✅ 価格だけでも、
✅ 建物の綺麗さだけでもなく、
医療の質と、自分が安心できることだと思います。

ぜひ、事前に病院へ行き、
部屋を見たり、スタッフの説明を聞いたり、
医師と話してみることをおすすめします。

これまで、日本へ一時帰国して出産される方が多かったのですが、
最近はメキシコで安全に出産される日本人ママも増えています。
同じ外国で出産に挑むママたちが、少しでも安心できるよう、
ASAGAOも引き続きサポートしていけたら嬉しいです。