第一回 サン・ミゲル・デ・アジェンデで活躍する画家YUI

 

 

    

サン・ミゲル・デ・アジェンデの

Fabrica la Auroraアートギャラリーにて

定期的に展覧会を行っている日本人画家。

知る人ぞ知る愛妻家でありながら

一見近寄りがたい印象を放つYUIの独占取材

 

 

  Yui Sakamoto氏のアトリエにて第二弾

画家自ら希望者の作品に対してコメントをするThreadsのスレッドにて対応中のYuiさん。大反響故のフォロワーからの心配の声に『問題なし。』

そんな男らしいYuiさんの素顔に迫る。

 

 

 

 日本での展覧会⁉

TIPS:冷蔵庫の上にある絵が少し気になる。

 

ゆい:あれはねちょっとね、悩んでんだよね。日本で展覧会やりたいなと思って持っていけるぐらいの大きさでやろうかなと思ってたんだけど、ちょっと、日本のギャラリー見てたら安いんだよね。絵売れてないの。

 

TIPS:日本でも置いてるの?

 

ゆい:違う違う友達とかこいつすげえなと思う人の個展がありましたって言ってすげえなってどんくらい売れたのかなと思って、別に聞いたりはしてないんだけど、その後のアートフェアとかに参加しますっていうのとか見てたら、同じ絵が出てるから、売れてないんだあれーって。

 

TIPS:海外に比べたら絵を飾る人も少ないイメージだもんね。棚にある絵は?

 

ゆい:あーあれ?えなちゃんに描かせようとして小さいキャンバスいっぱいストックしてるの。『いつでも描けるよ!キャンバスもう出来てるよ!』って。

 

TIPS:はははははは!

 

上差しまたまた愛妻家発言。Yuiさんの願いは奥様に届くのか。スタッフ一同Enaさんの最新作お待ちしております。日本では当分展覧会の予定はなさそうですね。

 

 

 

 業界の裏話

TIPS: 画家さんしかわからない裏話を是非。

 

ゆい:お金の裏話。うーん。基本的にギャラリーは、初めの方は駄目だけど、展覧会終盤とかになると、買う気があったら、10%まで安売りしてくれる。

 

TIPS: あんまりお金がないけど、どうしても欲しいなって思うときは終わりぐらいに、ちょっと何とかなりませんかねって言ったら買えることがあるかも知れない?

 

ゆい:意外とね。ギャラリはー最後まで粘ると思うけどね。

 

TIPS: ちなみにギャラリーの取り分と画家さんの取り分の平均はあるの?

 

ゆい:基本50%50%。

 

TIPS: 画家80%、ギャラリー20%とか強気な交渉もできたらする?

 

ゆい:する。それはもう世界レベルの人だったら余裕だろうね。

 

TIPS: 一般的な?画家さんが稼ぐにはギャラリーしか無い?

 

ゆい:後はネットで売ったりとか、最近はそういう人も多いんだよね。

 

TIPS: ネットで売りたい?

 

ゆい:いやネットで売りたくないかな。、ネットで売る問題って、多分1000万とかにならないんだよ、そこでずっと売ってても絶対。なんつったらいいんだろう。んーレベルアップしていくごとに値段が上がってくるの。だけど、ネットで売ると、高くした理由がないっていうか、何で急に高くなったのみたいなる。

 

TIPS: レベル/ランクアップはギャラリーから言われる?

 

ゆい:んー。のもあるし、交渉するときもあるし、例えば展覧会の作品が8割がた売れましたって言ったら、それはもうちょっと高くてもいけんじゃないということになる。

 

TIPS: 勝手にギャラリーの方で例えばあなたの絵は最初は10万で売ってましたけど、もう今は100万単位で売れますねっていうような金額的な感じでレベルアップしたんだなっていうふうに認識するってこと。

 

ゆい:そーね。でもとにかく売れるか売れないかが全てで、売れないのに値段を上げれない。

 

TIPS: ランクダウンすることもある?

 

ゆい:ない。ランクダウン絶対しちゃいけない。それが絵の値段を上げるときにめっちゃ難しいとこで今回の展覧会、値段こんだけ上げたけど、売れませんでしたねってなって、次の展覧会で落とすってことは絶対にできない。それをもし自分で勝手に売ったりすると、それはそれでマーケットの値段を下げることになるからそれもできない。

 

上差し値段を上げてしまった故に手が届かなくなった作品、値引きもできず誰かに買われるまで所持することになるとは知りませんでした。

 

 

 

 

 

上差し Yuiさんの作品プライスが書いてあるファイル⤵︎

 

 ギャラリー事務所との付き合い方

TIPS: 絵を売るためにはギャラリーとの関係が大事なのかな。気をつけることとかある?人やギャラリーのスタイルによるかもだけど…。

 

ゆい:まー期限を守ることかな。んー。俺、基本ギャラリーの人に1年ぐらい会わない。

 

TIPS: ‼⁉(笑)

 

ゆい:展覧会で会うぐらいで…『次の展覧会、じゃあいつにしましょうか。』みたいなこと言われて、「わかりました。」っつって、『何点ぐらいやりますか』っつって、「大きさにもよるけどこんくらいの大きさだったらこんくらいかな」みたいなこと言って、でーお互いのいいところ、できそうなところで、『じゃあそれでやりましょう』ってなって、もう「こっちはやります」って言って、活動に入るから。

 

TIPS: スタッフとは密な関係の様に見えたが…

(上差し展覧会に行くと痩せたドーラのようなラスボス風ばあちゃんがYui氏に向かって勢いよく来る…Yui氏が平手打ちをかまされたことがある非常に濃い人物)

 

ゆい:『ちょっとゆい、どう最近みたいな感じ』で、最近は来ないけど、昔はやっぱりちょっと何つったらいいんだろう。まだどんな絵をずっと書き続けるのかっていう信頼がないじゃん。ひょっとしたらいきなり全然違う作品作って来るかもしれない。からアトリエ覗きに来てた。

 

上差し1年に1回の展覧会の打ち合わせは対面ではなく、ギャラリースタッフにも年に1、2回しか会ってないとは驚きでした(笑)

 

 

 

 謎多きYui氏の経歴

ゆい:経歴?えーっと。まぁ、小・中は普通かな。で高校がそのデザイン美術かっていう何だろう。美術系を結構大きく時間をとっている学校で、そこでちゃんと…ちゃんとっていうか、勉強し始めた。

その後は…その後は俺結構本当にすごくって(笑)何だろう。予備校の先生っているじゃん。東京とかにも予備校のデッサンとか教えるすごい先生がいるの。でその先生とかが1年に1回、夏休み来んの。でそのときにこの子は現役で東京芸大受かるよって言われたのが俺。

 

TIPS: 夏期講習で来てくれるすごい先生が?すごい!

 

ゆい:もう超天狗になって(笑)ダリとかさ、そういうの結構見に行ったりしてて、絵はともかく目だけは超えてたの。で、東京芸大なんぼのもんじゃいって思って、卒業展見に行ったら、なんだこんなもんかっつって俺大学行きませんつって、俺イタリア行きますってイタリアに行ったら、もう初日から野宿で泣いてたっていう(笑)

 

TIPS: 高校卒業して、そのまま留学?

 

ゆい:一応、語学留学じゃないとビザ取れなかったから。とりあえず語学留学で絵描いてりゃ売れんだろう、天才だしって。(笑)

そしたら、1年ぐらい書き溜めた絵で個展を1回だけやったんだけど、1枚も売れなくって、やべって思った。(笑)

 

上差し語学留学中に個展をやったYuiさん…バーでの個展だったようだが、そのための語学力・行動力はどこから来るのか。当時はスマホなどなくデジカメの時代…是非様子を見たかった。感心しているTIPSをよそに「適当だった」の一言。これがYuiなのだ。

 

 

 

 

ゆい:それで結構、やべえなって思って、天才だと思ってたけど天才じゃなかったん。あれ?俺勘違いしてたかもしんないみたいな感じで、思ったときに、うちの親父がメキシコに行くけど来るかっつって。なんか仕事で。ちょっともー結構ね、くらってたから、「はーい行きまーす」みたいな感じで(笑)

 

そんでメキシコ来て、なんかCasa de cultura のおばあちゃんたちが絵描いたりするじゃん。

 
TIPS: え?アグアスカリエンテスのCasa de cultura (文化館)の事⁉

 

ゆい:あそこでおばちゃんたちと一緒に絵描いて、当然俺が天才的にうまいからこいつやべーみたいになって。

で、そんなことしてフラフラしてたら、さすがにうちのお母さんがキレて、なんかいい加減なんかやんなさいよみたいな。で大学行くかっつってモンテレイの大学なんか絵の学校があるらしいっつって、行って、大してスペイン語も喋れなかったんだけど、一個目の候補は試験受けなきゃ無理って言われて、それ無理っつって、絶対語学的に受かんないから無理っつってわかんないし、で、そしたらモンテレイのウデムっつー大学にそのまま行ったんだけどね、ポートフォリオを持ってって、こんな絵描くんだけどー大学入れてくれないっつったら、あーいいよっつって、試験なしで入れてくれて(笑)

 

上差しラッキーなようだが、ポートフォリオで入学をネゴした男。すごい。

 

 

 大学以降の活動とは

ゆい:大学は五年間行った。

結構絵よりもセオリーが多くて美術の歴史とか、なんかそういうのがめっちゃ多かった。初めすごい嫌だったんだけど、イタリアに行ったときに結構美術館回ってたの。んで、この絵か、あの絵かと思ってたのが、こういう意味がある。美術の歴史で、ここ、これは大事な作品なんだとか、何かそういうのがわかって、何かぼんやりと今まで見てきたものが全部繋がったっていうか。

だから、絵はやっぱり俺が一番うまかったんだけど、そっちの歴史とか知識の方でめっちゃ勉強になった。

 

上差しYui氏の絵の専門用語のスペイン語力はTIPSで長年通訳の経験があるスタッフも叶わない。

 

ゆい:その後は、いろいろあって結婚することになって、で仕事しなきゃやべえなっつって、うちの親父が働いてた日本人学校に、「無理だろうな」とか思いながら、履歴書送ってみたり。そしたら、『はい来てください。面接します。』みたいな感じで言われて、えーいいんだとか思って、面接行ったら、じゃあお願いします。みたいなことになって、最大4年で最小2年、駄目だったら2年で首切るよっていう契約で、一応4年働いた。

 

上差しなんと日本語学校の美術の先生!Yui氏の授業受けてみたい!

 

ゆい:その後なんかすっげーどうしようかなって悩んだんだけど、結構校長先生が買ってくれて俺のこと、グアダラハラの補習校とか、どこだっけ、メキシコシティの学校とかで、働きたいんだったら、口聞くよ。みたいなこと言ってくれたんだけど、ちょっともう俺、先生嫌になっちゃったから、でも、ほら、子供もいたからさ。

うーん。嫌だけどやるしか無いかなって思ってたんだけど、えなちゃんが『もーいーよって』。で「じゃいっかって」でサンミゲルに来ることになった。

 

TIPS: サン・ミゲルは住んだことも無かったし、当時はネットでの検索も限られてたと思うんだけど一家揃ってサンミゲル引っ越ししたんだよね!?

 

ゆい:そうねっていうか、そのさっきも言ったけどサンミゲルのギャラリーの絵見て、全然勝負できると思ってたから結構軽く考えてたよね。こんなに厳しいと思わなかった本当、来たとき。

 

TIPS: 何年目でサンミゲルでやっていけると思った?

 

ゆい:2年目で、多分アウロラで展覧会やったときに、うん、食ってはいけるなって思った。来て6ヶ月間は何にも本当売れなくって、死ぬと思った。(笑)

 

上差しYui氏は教師時代蓄えていた貯金が底をつき、お金がない事実を奥様へ伝えないといけない事件が過去にあり、その時の奥様の『大丈夫だよYui君、道端に生えてるノパール(ウチワサボテン)で飢えを凌ごうよ』と言われ、Yui氏における幸運の頂点と言える奥様のサポートによりその後0から大物の絵が売れ、ラッキーハプニングが続いていくのである。

 

 

 

 

 貯金0・収入無しからの生活

TIPS: 冗談無しの収入0からの生活。今だったらネットでの商売も考えられただろうけど電話発着信しかできないような携帯、情報収集もできない状態からどのような生活をしたの?

 

ゆい:そこで犬の絵描いたり(あなたのペット描きますよシリーズ)、お花シリーズ、仮面の子供シリーズ描いたり、なんかもうとにかく媚びて媚びて媚まくって買ってください。みたいな。(笑)

 

TIPS: その頃はYuiさんに描いてもらえるということでお友達はせっかくの機会!是非!という感じでお願いしていたと思うけどお金に困っていたことなんて知らなかっただろうね…

 

ゆい:それで食いつないでた。

 

TIPS: その辛い時代にスターリンさんと出会い…という感じで続いていったんだね。

 

ゆい:自分の絵は描いてたから、それを展示する機会がやってきた。

 

上差しその頃に偶然にも絵の依頼をしていたスタッフです。今では死んでしまった愛娘の絵、大事な宝物です。

 

 

 画家として成功の秘訣

TIPS: 画家として成功できたのは家族の支え…

 

ゆい:もちろん。絶対だよね。本当そうだよね。

 

TIPS: 泣いちゃうね。

 

ゆい:本当よくあの貧しい生活に耐えてくれたよ。

 

TIPS: 支えてくれる家族がいたから続けられたのかな。

 

ゆい:いや、そもそも画家やっていなかったと思う。結構限界感じてたから。

日本人学校やめた後も先生をやってたと思う。もし俺1人だったら。

 

TIPS: そうならなかったのは…奥様?

 

ゆい:なんだろうあんまり内容考えないで飛び込めるっていうか

なんか、『えーもういいじゃん、好きに生きようよ、なんとかなるよ。』みたいな。

 

TIPS: Yuiさんは計画的なタイプ、安定重視だと思うけど。

 

ゆい:そう、おれは結構石橋叩いてやるタイプ。

えなちゃんはいいじゃん、なんとかなるよタイプ。

 

TIPS: 今のYuiさんがいるのは奥様のおかげ…いつも美味しいご飯、家庭も任せられる、そして画家もしている。聞くだけでも十分すごい人だよね。

 

ゆい:うん。えなちゃんにインタービューしたほうが良いと思う(笑)

 

上差し奥様を説得しインタビューしてみたい!

 

 

インタビューバトンタッチ

 

上差しインタビューをバトンタッチシステムで考えています。続くよう頑張ります。

 

TIPS: メキシコで活躍している日本人で知っている人っているかな?

 

ゆい:えーっとね、メキシコシティにいる画家でTORII KENTAていう人がいるんだけど。結構、しっかりやってると思う。最近全然、インスタとかアップしないのは、全然わかんないけどここ何年かアップしてないから、何があったか知らないんだけど。

 

TIPS: その方以外では?

 

ゆい:えー日本人で…知らないかな。

 

TIPS: 早速企画倒れですね。(笑)

グアダラハラでイラストされているAMI KANDAさんにもお願いしようかと思っていて…

 

ゆい:あ~あの人ね!あの人いい作品作ってるよね。一方的にインスタでフォローしてるからちょっと知ってるけど向こうは知らないかもしれない。切り絵が多いんじゃないかな?

 

TIPS: その方々の作品に関しては?

 

ゆい:TORII KENTAはすげえポップで日本とメキシコをポップアートで混ぜ込んだみたいな。1回飲んだことある。

 

ゆい:AMIさんに関しては何だろう。売れそうな絵だなって感じ。(笑)うまいと思うよ。

 

TIPS: 一度切り絵作品を依頼したことがあるんだけど、顔はパーツがないのに上手に特徴掴めるのはすごいなって。

 

ゆい:俺もすごいなぁと思う。顔がないのによく特徴を掴んでると思う。

 

さてこのバトンインタビューは続くのでしょうか。

是非続けたいですね。次回を楽しみにしていただければ嬉しいです。

 

 

Yuiさんとても楽しいインタビューの時間ありがとうございました‼︎

これからもずっと応援しています‼️