第一回 サン・ミゲル・デ・アジェンデで活躍する画家YUI

 

 

    

サン・ミゲル・デ・アジェンデの

Fabrica la Auroraアートギャラリーにて

定期的に展覧会を行っている日本人画家。

知る人ぞ知る愛妻家でありながら

一見近寄りがたい印象を放つYUIの独占取材

 

 

  Yui Sakamoto氏のアトリエにて第一弾

 

作業の邪魔にならぬよう、夕方訪れた時の作業風景。

アトリエへ一歩踏み入れると楽しいワクワクするような世界に魅了されます。

そんな世界を作り出すYuiさんのお話をこの度取材させていただきました。

お話が盛り上がったので第二弾も投稿予定です。

 

 絵を書き始めたきっかけはドラゴンボール⁉

TIPS:絵を始めたきっかけは、ドラゴンボールからマンガの真似っ子をし始めてたのね。そこからどう続けていったの?

 

ゆい:続けようと思ったっていうよりは、好きでただ書いてただけ、漫画も書いてたし、小学校ぐらいの話だけど、ずっと自分でドラゴンボールの真似みたいな漫画を書いてた。

 

TIPS:最初から上手だったの?

 

ゆい:下手だった。俺ずっと下手なんだよ。本当に。

 

TIPS:どうして絵の道を進もうと思ったの?

 

ゆい:あのね、中学校のときに、馬鹿すぎて行ける学校がなかったのね。

 

TIPS:はははははは!

 

ゆい:日大付属のデザイン美術科があって、そこは結構馬鹿でもはいれるの(笑)

私立だから金は高いんだけど、何だろう、絵書くの好きだったから『まぁじゃあとりあえず高校はここしかねーな』って。

先願ってあるじゃん。それだったら受かるだろうって、5教科はどぶに捨てたみたいなもんで、とりあえずデッサンだけ、これで抜群にうまけりゃ、受かんだろうみたいな感じで中学最後の3年生の時めっちゃ頑張った。

 

上差し私立入学に関するの親の意見について聞いたところ、もともとお兄さんをデザイン科に入れたかったが興味はなく、お兄さんはミュージシャン希望、弟さんは漫画家を目指しているそう!アート一家だ。

 

 

 仕事依頼の条件とは…

TIPS: 主にどのようなお仕事が多いの?

 

ゆい:どのようなお仕事?展覧会かな。

 

TIPS: どうやってお仕事探してる?来ませんかと声がかかるの?

 

ゆい:今?今の話?うん今はもう埋まってる。3年ぐらい先まで埋まってるから、それを淡々とこなすっていう感じ。ギャラリーからはいっぱい声がかかる。『グループ展やります。入りませんか。』とか。

 

TIPS: いいなと思ったら行くの?

 

ゆい:条件が揃ったら、いいっていうし揃わなかったら断る。

一番大事なのは送料だね。送料をこっち負担なのか向こう負担なのか。

送料とか、あとは、箱の大きさ、そのギャラリーがどのぐらいの大きさなのか。すごいちっちゃいギャラリーだったらやりたくない。今ほら、アウロラでやってるじゃん。あそこと同じか、あそこより上のギャラリーじゃないと、基本的にはやらない。

 

上差し3年先まで仕事が決まっているYuiさん。今年はアウロラ美術館の展覧会を断ったとのこと、非常に残念…

 

 

 絵で食べていくには?

ゆい:とにかく毎日書くことだろうね。

 

TIPS: 絵を書き溜めて買ってもらうための準備?

 

ゆい:なんかギャラリーに置いてもらうとか、そういうのはいろいろあるけど、そもそも作品がないと話にならないから、なんていうの、向こうのギャラリーが置きたいと思う作品をまず作ることじゃない?作品ができたらやっとテーブルに上がれるというか…

自分は今どこの位置にいるのか、ここのギャラリーには使ってもらえない。でもこのギャラリーだったら使ってもらえるみたいな、それで自分の立ち位置がわかる。

 

TIPS: 裏にもたくさん描き途中の絵があるように見えるけど、今見る限り手掛けている大物作品は2作?これは依頼されてる作品?将来用に書いている作品?なのか。

 

ゆい:いや、もう今はどんどん展覧会が、3年先でも埋まってるから、とにかく作品は作っていかなきゃいけないっていう感じ。

 

上差し自分で書いていて、気に入ってしまった絵。これは売りたくなかったなっていう絵があったかについては即答で『ない』でした。(笑)

 

 

 そんなYuiさんの一番好きな絵は…

TIPS: 好きな画家さんの絵は描くということだったけど、その中でも手に入れたいなというほど好きな作品は何?

 

ゆい:ユトリロの教会の絵。めっちゃ好き。本物を見た時に、この絵はもう本当に俺一番好きなんだな。と思った。あとはえなちゃんの絵。(奥様のお名前)

 

TIPS: なんでえなちゃんの絵が一番好きなのかな?もちろん大好きなえなちゃんが描いたっていうところもあるのかもしれないけど、えなちゃんもやっぱりすごく才能があると思うんだよね。私は素人ながらにもこの子すごいなって思うんだけど、何が好きなの?

 

ゆい:俺にかけない。

描ける気がしないんだよね。わからないけど。顔の表情とかかな、やっぱ。

 

TIPS: 基本自画像に近いよね、かわいいよね……だから好きなんじゃん!

 

上差しそんなYuiさんの奥様Enaさんの絵の中で一番好きな絵はこちらです。

夫婦揃って画家さんとは最強です。


 

 

 

 

 

 

 画家を目指している人へ一言

ゆい:やめとけ。

やっぱ厳しい世界だと思うよ。ミュージシャンとかもそうだと思うけど。

なんか俺もびっくりするのが、インスタグラムとか見てても、この人が食っていけねーんだって思ったりすると、なんかもうラッキーみたいなのがないと、どんなに良い絵を描いても無理なんだなと思う。

 

TIPS: 多分きっかけとか、どこでやってるかとか、そういうのもあると思う例えばその競争する人が少ないとか。

 

ゆい:そうそう、だからここを選んだのよ。

あとやっぱ都会の方が競争率が高いっていうか、すごい人たちが多いし。なんか始めサンミゲル来てギャラリー回ったときに勝てるなと思った。(笑)

でもだれも絵を置いてくれなくって。

 

TIPS: そうなの?ギャラリー回って自分を売り込んでみて?

 

ゆい:売り込んだけどもうどこも。

 

TIPS: 絵を置きましょうかと話が来たのは?

 

ゆい:もう諦めて、もうしょうがねーやって、諦めてたら、チャンスが転がってきた。

違うギャラリーだったんだけどそこで結構金も盗まれたし、絵も盗まれてるから。で逃げられたって感じ。

 

TIPS: 次の質問は苦労したことは何ですかだったんだけど、もう苦労したことしか逆にないような感じだね。

 

ゆい:始めのサンミゲルでやった展覧会はそうやってもらった金もあるんだけど、盗られた金や小さい絵も何点か。来て1年目だから10年前ほどの話かな。

けどそこで売れたっていうか、買ってくれたアメリカ人のおじいちゃんスタンリーさんがアウロラのギャラリーを勧めてくれたんだ。描いた絵は全部おじいちゃんが買ってくれてた。その人はギャラリーと揉めちゃってもう来なくなっちゃった。

 

TIPS: そうなんだ。頭が上がらないスタンリーさんと連絡は取れないの?

 

ゆい:んー取れても英語だからわからないや(笑)

 

上差しYuiさんにとって特別なスタンリーさん。スタンリーさん紹介前にもアウロラへはアプローチかけていたけどその頃、無名だったYuiさんは全滅だったそうです。

 

 

 Yui Sakamotoの独創的な世界はどう生まれるのか

TIPS: テーマ作りに意識していることは?

 

ゆい:展覧会ごと一つの何かテーマになるようにはしてる。今回は…こんな感じみたいな。はははは。なんだろーな。

例えばこれだったら⤵

初め、めちゃくちゃ塗ってたの多分、そしたらなんかカマキリに見えてきて、カマキリってほら、セックスするときに男の人食べちゃうんだよ、だから面白いなと思って、セックスして食べられた人を描いてみたの。そしたらなんかキリストっぽく見えてきたなと思って食われている人が。なんかよくわかんないけど、じゃあミケランジェロが作ったピエタを下に置いてみようかと思って。とりあえず描いてみたんだけど、これが何を意味するのかって言われたら俺にはわからない。(笑)

大体わかんないからなんか出来上がって何年後かに、写真とかで見てこれってこういう意味にとれるねみたいな感じ。今回で言ったら、ちょっとキュビズムに挑戦してみようかなとか。

 

TIPS: ギャラリーから宗教が絡んだような絵についてメッセージが強すぎて展覧できないということ言われたことは?

 

ゆい:俺、基本的に絵について喋らないから、言われたことはない。説明もしないし。

 

上差し絵のテーマの生まれ方を語ってくれた貴重な瞬間でした。

 

 

 今後の活動

TIPS: サンミゲルで画家として活躍し始めて約10年、おめでとうございます!続けられた秘訣は?

 

ゆい:ラッキーかな。やっぱり…。

やっぱり展覧会やってアウロラでやらせてもらった時にあれで売れなかったら、多分それで終わりだったと思うんだけど、ちょこっとっていうか、結構売れたから、それで次も持ってきなって、続いてった。

 

TIPS: 縁があって、絵も予想以上に売れて大喜び?

 

ゆい:そうね。『キタッ‼俺の時代が来た‼』(笑)て思った。だからそのときに、今のスタイルが固まったかな。

 

TIPS: そうだね。前から作品を知っているけどお花畑シリーズや民族の子供達シリーズで色々なタイプの絵を書いていたイメージから今のスタイルに落ち着いたのかな。

 

ゆい:これが売れるなって分かったから(笑)売れてなかったらまた違う絵を描いていたかもね。

 

TIPS: でもお花畑シリーズや民族の子供達シリーズも売れてたでしょ?

 

ゆい:あれはもう嫌だったら描きたくないよね本当に。もう本当苦痛でしょうがない。

 

上差し今でも欲しいという人も多いお花畑シリーズ。是非インスタからみつけてみてください。民芸の子ども達もメキシコの民芸服を意識していて、その頃はとにかく個展も無いし、何が売れるかわかんない。とにかく売れる絵を描かなきゃいけないという中で1~2万で売られていたのです。

 

 

 自分の好きな作品

自分が好きな作品はとりあえず描くYuiさん。見事ですね。

 

 

 

 

 

 

お話が盛り上がってしまい、今回は一旦ここでお別れです。

ギャラリーで絵を少し安く買う秘訣などは次回のお楽しみに。