レディー・ガガには興味なし、シリーズ全4作未見にも関わらず予想以上にツボ。
俯瞰説明的な描写を削り、二人のみに張り付く撮影が見事。
長めの手持ち接写移動を延々と続けるが、
物語全体の語り口も同じく二人のみの世界であり、技法と演出が見事に一致。
場末の女装バーで「ラヴィアンローズ」を歌いながら最初に視線を交わし、
恋に落ちた23秒の瞬間が凄い映画的説得力。
恋する瞬間の視線の交錯ということで大好きな「キャロル」を思い出した。
視線から、愛しているという言葉や行為に至るまでの眉毛を取る、
鼻を触る、鼻歌などフェティシュな延々と続く前戯が快感。
前半の小さな積み重ねが物語を動かす。駄目男描写も容赦なし。
男の嫉妬と酒と薬への耽溺は痛々しい。
奈落へ落ちていく男とスターダムへ上がっていく女の
束の間の触れ合いが何とも苦々しい。
後半の説明の省き方、ラストの潔い切り方も卓越。
ブラッドリー・クーパーの演出は借物ではない傑作。

偏愛度合★★★★