【公式】『メアリーの総て』予告編

女性による女性のための女性映画。

登場する男がことごとく屑ばっかりで、
全ての女性を抑圧する存在として社会に君臨している。
過酷な現実にむしばまれながらも、その既得権へ抗するのがメアリー。
金髪碧眼で白肌に長身というどこか浮世離れした容姿で
男女問わず嫌味なく、健気さすら感じさせるエル・ファニングが好演。
書き手として物語が生まれる瞬間を共に体験できる。
ただフェミニズム思想や行動に共感できても直球ど真ん中で
プロパガンダな作風には作品自体に遊びがないので落ち着きが悪い。
思想を台詞で高々と語るのは野暮。
真っ向な正論は時として物語としてはうまく機能しない。
同じくエルならば「20センチュリー・ウーマン」での
小悪魔ガールの自由奔放の方が生き生きしており、
結果的に作品としても女性賛歌を痛感できる。
メアリーは現在にも脈々と繋がるジャンル映画の
プロメテウスとも言うべき開祖なので、
もっとゴシックでロリータな遊びや色気が欲しかった。

偏愛度合★★★★