今年2本目。
観に行こうとしていた映画の上映時間に間に合わず,
でも折角の長期休暇最終日なので急遽劇場へ駆けつける。
結果はアタリ。まことに力作でした。
 
 
アナキスト、ネオファシスト、警察、軍、裁判所、政府、内務省情報局と
多くの派閥と人物相関が入り乱れ、複雑に謀殺と偽装工作が錯綜する1969年のイタリア。
遠く離れた国の門外漢にはややこしいたら。
日本題字幕による人物名、属性を表示に救われた。
これがなしでは初見で絶対理解できないだろう。
大統領ですら、顔を見ても「誰、このオッサン?」という感じなのだ。
演出的にも基本実際に起こった客観的事実のみの提示というストイックさ。
劇映画、特に娯楽サスペンス映画にありがちな脚本セオリーに基づいた
間を想像で埋めることをしない。
観客は事件の闇へとひたすら進む警視の視点と同調する。
周囲に圧力をかけられ、家族ともども罵倒されながらも真実へと進む。
観客もまた緊張を強いられながらも引き込まれていく。
そしてラストの後味の悪さも凄い。
フライヤーなどにも記載されておりネタバレとなるが、
余りにもあっけない突き離しには落ち込む。
でも劇的な脚色ではなく、事実に基づているのがこわい。
2時間強の間、かなり気張って鑑賞。
おそろしく緊張を強いられ、終映後は魂を吸い取られぐったり感。
万人受けの娯楽作品ではないがこれは力作。
 
偏愛度 ★★★ (でも限りなく★★★★に近い)