ホッとすると、どんな事務所か気になり
出した。車で15分ぐらいだった。
特に混むところもなく、すんなり着いた。
細い雑居ビルだが、近代的でシンプルな
外観だった。本社工場の人を寄せつけない
強烈な感覚とはうって変わって、ごくごく
普通の感じ。そうそうミホはこういう所
を探してたのかも知れないと思った。
事務所ビルなので、スッキリとして
静か。エレベーターで最上階に行く。
11階の角に事務所はあった。
ドアを開けると、心地よい空間が待って
いた。窓際に理事長席があって、
2メートル程離れて、小さい窓際に
もう一つ席があった。
観葉植物も飾っていて穏やかな感じが
する。書庫もあって、ファイルが少し
入っているぐらいで何もない。
ガラスも綺麗で、ベタっとしてないの
がいい。緑の絨毯も目に優しい。
普通のオフィスなんだけど‥
さっきいた所がきつかったから、
良くみえる。ただそれだけかもしれない。
明日から、この事務所で理事長の秘書
としての仕事が待っていた。
結果的に、本社工場より近くて乗り換え
もなく通勤も楽になった。
他の4人はどう思ってるだろうか?
初対面で、理事長お持ち帰り
軽い女だと思うだろうか。
理事長の意向で何もかも変わった。
特に急ぎの仕事があるわけでもなく
9:00に来て電話📞を受けたり、
スケジュール管理・簡単な資料作り
などが主な仕事で、指示さえなければ
自由だった。とてものんびりとした
時間を過ごしつつお給料も貰えて
悪いような気もした。
暇な時、理事長と雑談したりして過ごす。
暴言を吐いたり、ボケいて厄介な人
という感時は無く。家族のような
気楽さがあった。
あっという間に4日過ぎ、理事長奢りの
新入社員歓迎会の日になった。
バスが、事務所の前に来て理事長とミホ
はすぐに乗った。
大型バス🚌1台に総務と工場の人が
乗っていた。総務の4人以外に
新入社員2人もいて、それぞれ
勝手に決められた席に座っていた。
今日が初対面でバスの相席とは、
新入社員2人が気の毒に思えた。
工場に1日いたせいか、着替えても
髪や肌 息にまで匂いが染み付いて
いた。やっぱりキツイ仕事だ。
おそらく気にして、手を洗ったり拭いた
りしたであろうが匂いはなかなか消えない
気の毒に
バスの中は工場が10としたら、5レベルの
臭さはあった。皆んな慣れてるのか?
得意体質なのか、平然としていた。
ただミホの隣に座る理事長は敏感で
すぐにマスクを付けたり窓をあけて
空気の入れ替えをしていた。
この態度を見て、本社工場の人はガッカリするだろうと思う。
自分の会社から、離れて事務所を借り
週に3度の数分の訪問。
何もせず、ただチェックにくるだけ
2、3指示して帰って行く。
込み入った話しは、滞在時間が長くなるの
で電話やファックスなどで回避していた。
どうして、会社を継いだのだろうか?
理事長は2代目で5事業者を束ねて会社
にしたのなら、誰か適任者がいたはずだ。
詳しくは聞いてないが、無理して親の会社
を継ぐ必要もなく、事務所を借りるぐらい
ならその場で辞めるべきだと思う。
皆んな無理して匂いに耐え働いている。
この匂いに全く感じない人はいないはずだ。
工場の人などは、原材料に直接触れ、
ミスト状の生々しい空気を一日中嗅いで
いるはずだ。ある程度の役職を持って
たり責任ある立場の現場担当など
どうしているのだろうか?
玲子さんは、臭さいけど鼻にフィルター
をかけれるから慣れたと話していた。
総務の仕事も月に2、3度工場に出向く
時があって、それはそれは地獄絵図
を目の辺りにするだろう。
原材料は、食肉として使えない部分や
ペットや動物の死体をあらゆるレート
から仕入れて乾燥 煮たり 抽出という
過程を経て無害な物にするらしいが
既に腐っている物も混じっていて
関係なく同じ場所で処理している。
虫が湧いてるもの、匂いに引き寄せられ
やって来た虫たち。
事務所や工場などで、蚊がいない
悪臭漂う原材料に群がっている。
ミホはあれから一度も本社工場に
来ていない。
ミホに優しい理事長が事務所にいていい
というので同行することはなかった。