俄然張り切ってしまう、好奇心旺盛な
ミホだった。


6/28金曜日から、出勤して欲しいという

事だった。中途半端だ。

どうせなら、7/1月曜日からの方が

キリがいいはずだが、何故か6月最終日

だった。「行く。」と言った手前行かない

わけにもいかず、気が重い。

好奇心はあるが、一度嗅いで、不快な匂い

はできれば避けたい。ただ、有効な悪臭

対策が思いつかない。マスクをつけても

意味はなさそうだ。どうせなら酸素マスク

とか、軍隊がつけるような本格的な

ガスマスクが必要だ。

朝からいろいろ考えているが、時間も

せまってきて行くしかないと観念する。




スリッパや印鑑、通帳などを用意して

悪臭漂う会社にむかう。

「はあダウン。」気分は最悪だ。

会社にとうとう着いてしまう。

周辺が臭いので目を閉じても辿り着きそうだ

ここに入って行くしかない自分にも

ガッカリだ。回避出来ず、他社は連絡無し

職探しを始めて13日しか経ってないから

しょうがないと思いつつ。

いい加減決まらない理由が分からない

苛立ちもある。トホホという表現が

ぴったりだ。ガラス扉を引いて、

エントランスに足を踏み入れる。

「う!臭い。」鼻を直撃。

この匂いなら公衆トイレの匂いの方が

だいぶマシだ。嗅いだ事ない匂いって

拒絶反応が半端ない。死臭  腐敗  油

の3点セットが押し寄せる。

本日、生きて帰れるだろうか。

かなりの我慢大会に参加したかのような

気分に滅入る。靴箱には、名前のテープ

が貼られ、ちょっと嬉しい。


そのまま少しづつ呼吸をする感じで

最小限モードだ。エレベーターで2階に

にあがってとうとうデスクに到着。

あの好奇心はどこへやら

拒絶反応には逆らえないらしい。





面接や採用電話の時の、事務員が気づいて

笑みを浮かべる。ミホも笑みを返し

「おはようございます。」挨拶を交わす。

制服があるという事で、先にロッカーに

案内される。通路は広く部屋もたくさん

ありそうだ。テレビ📺があって

くつろげる休憩室。

とにかく資料室とか

ほとんど使ってないであろう部屋が

多々ある。一番広い部屋が、食堂で昔

食堂が開店してた名残があった。

大きな業務用の鍋やオタマ、調理器具

が棚にある。業務用の冷蔵庫も置かれて

いた。調理器具類も綺麗でピカピカだ

3か月もっただろうか。

閉店ガラガラであっという間に店じまい

だったような気がする。

閉店した理由は、おそらく悪臭漂う中

で食事どころじゃなかったのであろう。

モワッとした中で、カレーやラーメン

を食べたいひとは、いないだろう。

作ってる間に建物にこびりついた匂い

や油も食事を腐らせる。

作る人も、味の感覚がおかしくなりそうだ。

鼻がフルに利用できないと料理も味が

落ちてしまいそうだ。


食堂の奥にが女性用のロッカーがあった。

ミホを含め3人しかいないのにロッカー

は15個ほどあった。

ロッカーの中に事務員の制服があった。

クリーニングのカバーがかけられ、親切に

9号と7号が用意されていた。

白いブラウスに紺のベストとタイトスカート

求人欄に載っていた女性と同じ制服。

ただ違うのは、写真のロングヘアの女性

はいなかった。モデルさんだった。

あの写真で、良さげな

イメージを繰り広げ履歴書を送る人が

よってきそうだ。求人欄に女性の写真が

あると安心するのだ。

好きな方を着てくださいとのことで、

タイトスカート、ブラウスは7号で

ベストのみ長めに着たかったので9号に

した。これで良し。

バッチリ決まった。制服のおかげで

テンションが上がってきた。

制服を着ると、かっこいいしピシッと

仕事モードになれた。ミホは、鏡に

映った自分をパシャパシャ撮った。

あとで友達に送ろう。ネタ話をする際

ちょっとした写メがあると、よりリアル感

が出て、盛り上がる。

ニッコリ笑った写メ保存完了。