優しい笑みを見せこちらにやって来る。
40歳後半の女性だった。短いショート
カットの髪型は、ストレートにして

サラサラしていた。
きちんとした敬語を使い、応接室に

案内してくれた。仕事が出来そうだ。

会釈して彼女が出て行った後、

鞄からお茶を出して飲む。



10人ぐらい入れそうな立派な応接室。

日本作家の柿の絵が飾られている。

壁はクリーム色で落ち着いた雰囲気だ。

やる事がないのでキョロキョロと

部屋を見渡す。

5分たったころだろうか。

トントンとノックの音がして担当者が

入ってきた。

メガネをかけた、50歳後半のおじさん

だった。優しく笑みを見せた。

ここまでの交通手段や、事務経験など

を聞かれた。特に引っかかる事もなく

すんなり答えられる質問が多かったよう

に感じた。この匂いの素だが、

ドックフードなどに入れる

原材料を作っているらしい。


担当者「下の工場に行って、伝票や書類を

とりに行く事はあるが、原材料を触る事は

絶対にない。」

絶対無いという強い表現が気になった。

声も「絶対に無い」だけ大きな声で言った

事も気になる。

最後に担当者が「匂いは大丈夫ですか?」

と聞いてきた。


ミホ「大丈夫です。」

確かに臭いが、慣れれば問題ないだろう。

まして、ここが決まるかどうかも分から

ないし、それまでにどれか決まればいいと

楽に考えていた。

面接が終わって、そそくさとエレベーター

に飛び乗り帰った。



やっぱり匂いがきつ過ぎる。

無給状態でここにはいられない。

鼻が曲がりそうだ。

今この時代に、こんなに臭い匂いがする

職場がある事にも驚きだ⁉️

それほどまでに臭いのだ。

外に出てもまだ、残り香がのこっている

匂いが外に漏れている。

空気がベタっとして、しつこい匂い

と共にまとわりついてきた。

やれやれ匂いが原因で人手不足

のようだ。尋常じゃない匂いなのだ。

1日いるだけで病気になりそうなほど

にキツイ匂いなのだ。

小走りでこの場から立ち去った。

すぐにお風呂で長さなければ、

モワッとする匂いが髪や服について

無いといいのだが

しきりに袖の匂いを嗅いでみる。

自分では分からないかもしれない。

でも30分も滞在してないから

大丈夫だろう。

おろしたてのスーツが無事だと思い

たいところだった。



その足で電車に乗って、職安による

つもりだ。ここは第1希望とは程遠い。

無駄な時間を過ごしてしまった。

業績好調というキャッチフレーズに

つい応募してしまった。

求人欄だけでは、匂いのことも

書いて無いし、分からない。

働きたい気持ちもどこかに

消えてしまう。