こんばんは、マロニエです。
松本城を堪能した私は、本来の目的である22年前の大事件の現場を訪れた。
路地をうろついているとその現場がすぐに分かった。
なぜなら周囲は年月を経て様変わりしたのにあの家だけは時が止まったかのようであったから。
北深志1丁目、驚いたことに松本城の目と鼻の先である。
繁華街からこんなに近い所であんな凶悪事件が起きたとは・・・・
1994年6月27日、この家の隣の駐車場に停められた車から猛毒ガス”サリン”が噴霧された。
事件の真相はオウム真理教が土地取引を巡って松本裁判所を狙ったが、すでに夜遅く閉まっていたため
近くにある裁判官の宿舎を狙ったのだった。
その宿舎は駐車場の真東に隣接していた。
しかし、風向きが北東だったために狙いがはずれ、その方角にある建物を毒ガスが次々に襲った。
明治生命の寮は取り壊されていたが、いずれからも犠牲者が出た。
青酸カリの500倍の殺傷力。
呼吸したら死ぬ、そんな目に見えない脅威を避けられるはずがない。
事件発生時は駐車場に隣接するあの家が毒ガス発生場所とされ、家人が犯人扱いされた。
どんな風に毒ガスがつたっていったかが容易に想像できる。
今はもう水が張られていない。
なぜここを訪れたくなったか?
元旦に熊井啓監督の「日本の黒い夏 冤罪」を鑑賞したから。
事件発生時の様子が写実的、だからこそ不気味に描かれている。
監督の母親が小学校の教師で、そこの校長が冤罪をかけられた河野さんの祖父だったということで
監督自身も子供の頃はよくこの家を出入りしており、事件発生時は
「あの人にそんなことが出来るはずがない。」と思ったとのこと。
なんというかここら一帯が、あの事件を思い出すまいとしてるような、興味本位で訪れた私を軽蔑の眼差
しで見つめてるような重苦しさがあった。
あれから22年である。