Tさんと初デートの日

私の職場近くの駅まで来てくれるというTさん。

なんと優しい。


仕事中、初デートに心が浮つき、落ちつかなかった。

同僚に変な目で見られないかとヒヤヒヤしたが、気づかれずいつものように仕事を終えた。



職場近くの駅に着くとTさんが車から降りてきた


なんと、、

この間はより大きく見えた。

そして

身長が伸びている。

いや違う。

厚底のブーツだ。


そして、この間よりオシャレだ。


黒と赤のシマシマのセーター

ニット帽

ジーパン

ブーツ


オシャレなバイカースタイルだ。


この間と全く違う印象を持った。

Tさんも男性の中では身長が低い事を気にしているのだろう。


気合いを入れてくれた事も嬉しかったが、あまりの変貌に緊張し、ドキドキはピークになった。


正直、Tさんとは会話らしい会話をした事がない。

合コンでもみんなでワイワイのノリでしっかりと話してなかった。 

どんなことで笑うのか?

どんなことに怒るのか?


知らなかった。


車の中での会話はこの後、何が食べたいとか、この間の合コンの話などがメイン。

バスの運転手のTさんは運転がとても上手く心地いい。


私は誰かにどんな男性が良いか聞かれたらいつもこう答えていた。

・目が細くきつね顔の方

・穏やかで誠実な方

・車の運転が上手く車を持っている方


この時、Tさんはこの下2つに該当していると思った。


Tさんとラーメン屋さんでご飯を食べて、その後どこかドライブしようという事になり、桜木町へ向かった。

夜景の綺麗なデートと言えば桜木町、赤れんが倉庫、大桟橋、山下公園だ。


私は、若い頃にこの桜木町の商業施設で販売員をしていたので、桜木町にはいろいろな想いがあった。

特に仕事帰りにカップルだらけでベンチに座りキスなんかしている所をよく見かけた。


私はこの頃、まだ一度も男性と付き合った事がなく、男性とも上手く話せない、彼氏彼女の関係なんて遠い夢の様に感じていた。


誰かが自分の事を好きになるなんてあるのか?


とすら思っていた23歳だった。


そして、今35歳になり、Tさんの運転で桜木町にドライブデートに行こうとしている。


私は23歳の頃の自分を思い出し、自分が大嫌いで自己否定ばかりしていたあの20代があってそれでよかったんだと思えた。

何故かとても愛おしく思えた。


赤れんが倉庫を横に見ながら2人で歩き、海辺まで行きベイブリッジが見えた。


Tさんはなんだかソワソワしている様だ。


これは恋愛経験が少なくても分かった。


いや〜綺麗だねーを連呼していた。


ベンチに座ると姿勢を正したTさんは


「結婚を前提に付き合って下さい!」


私は迷いなく宜しくお願いします


と答えた。


結婚


するんだ。


と思った。


たった一度のデートで付き合って結婚をするんだ。


と思考が先にきたが、宜しくお願いしますと答えていた。