クリスマスイブのこと。
何もほしいものをおねだりしなかった、ねずみの兄弟がいました。
去年のクリスマスも、その前も、そのねずみたちのところへは
、なんのプレゼントもとどきませんでした。
だから、きっと今年もサンタさんはうちには来てくれない、そうあきらめていましたから。
でも、いちばん、小さい弟ねずみだけは、
「サンタさん来てほしい」そう話していました。
とうさんねずみも、かあさんも、いつもと同じように
「そうだね。来てくれればいいのにね。」
「ほんとうに。そうだったらいいのにって、思うわ。」
そう言って、また黒いゴムを丸めては、ぺったんこにする作業を続けるのでした。
このおせんべいみたいな黒い円盤は、真ん中をくりぬいて
空気を入れてふくらますと、自転車のタイヤになるのです。
この家には自転車なんて一台もないんだけれど・・・。
クリスマスだというのに、休むこともなく働くとうさんやかあさんはたくさんの
タイヤを作っているんだから、きっとたくさんのおうちには自転車が
あるんだろう・・・
そんなことを思いながら、ねずみの兄弟たちはいつもと同じにおやすみのキスをして、
寝床に入ったのでした。 <つづく>