ボルボロス ⇒ クエスト失敗。
パブルボッカ ⇒ クエスト失敗。
派手にフルボッコでやられる二人のハンターと二匹のオトモ。
「ねぇご主人様、なんで失敗とかしてるにゃ?」
僕、オトモアイルーの「ペパローニ」はご主人様とその弟さんの二人の奇異な行動を疑問視する。
新人ハンターの弟さんならともかく、ご主人は上位クエストも受けられるくらいのハンターなのに、装備はあえて初期装備。ちゃんと装備を揃えれば、簡単に討伐出来るだろうに。まるで失敗する状況を楽しんでいるようにも見えた。
「ああ!?うっせぇな。テメェは黙って言うこと聞いてろ」
温泉に入るとかドリンクもろくに使わないで、初期装備だけで挑む奇異な二人。
「今度はこいつだ。クルペッコとかいう奴」
弟さんが依頼書を持ってくる。さっきから装備に見合わない相手ばっかりにゃ。
「おう。じゃあいくぞ」
そしてあっさり応じる兄である僕のご主人様。
で―。
またも失敗。
「ご、ご主人様!」
もう辛抱ならないと僕は叫ぶ。弟さんのオトモ「お茶汲み」(※なんで僕の周りにはろくなネーミングをされないオトモばっかり集まるにゃ・・・?)も限界が来ていた。
「うっせぇなぁ。・・・でオイ、次はなんだ?」
弟さんに話しかける兄。
「いや、もう十分だ」
「そうか。ようやくイケるってか」
「うん、これでいけるだろう」
弟さんは手に持ったハンマーを手に、武具店へ向かう。
「ど、どういうことにゃ?」
「あいつはな、真正面から真っ向勝負することを信条にしてんだ。やられようが失敗しようが時間切れだろうが関係ねぇ。割に合わない装備なら上げる。上げる必要がなければ上げない。そういう奴だ」
「え、でもそれって・・・」
「他のハンターなら素材だなんだと集めて改造したり作成に勤しむのが普通だわな。でも野郎は違う。真正面からドタマにハンマーぶったたくっていう行動そのものに意味を持たせてる」
「へぇ・・・変わりモノですにゃんね」
変わり者という点ではこの兄も同じかもしれない。・・・外道という点では。
「俺は手段は選ばん。作戦そのものがハマった瞬間は面白いだろうが。野郎はそれを卑怯だ何だと言うけどな」
「・・・僕の兄弟を人質に取ったのは忘れないにゃ」
「まだ根に持ってんのか。ちゃんと平和にキノコ狩りさせただろうが」
「でもそれだと、装備が強くなるのは遅いんじゃないかにゃ?」
「そうだわな。他のハンターと組んだら変わり者に見えるだろうな」
「・・・ふーん。さっきから失敗してたのはなぜにゃ?僕にはまるで、わざと失敗してたように見えるけど」
「ああ、わざと失敗ってのはちぃと違うが、モンスターの行動を調べてた。俺から聞いたり情報誌の情報と、実際にやるのとでは情報量が全然違うだろ。初期装備のまんまで倒せるならそれで良し。倒せないようなら装備を上げる。そういうこった」
「とても倒せるような相手ばっかりだったとは思えないけどにゃ」
「そりゃオメェ、俺の言うことなんか聞かねぇ奴だし。百聞は一見に如かずって言うだろ」
「ふーん」
「それからな、お前はあいつが新人だと思ってただろうが、野郎のハンマーの扱い、妙だったと思わなかったか?」
「ん、新人にしては妙に手慣れてたにゃ」
「ずっと前にハンターやってたんだ。だから俺よりもキャリアは長いぞ」
「え、そうなのにゃ?」
「ええとあれだ、ランポスだかイァンクックだかっていうのがゴロゴロいた頃だ(※1)」
(※1)PS2のモンハン。理不尽さはポータブルを遥かに上回っていた。
「何それ?聞いたことないにゃ」
「まぁオトモも無かった頃だしな」
「へぇー!オトモ無しで挑んでたんですねぇ」
そうこうしているうちに弟さんが現れる。格好が全然違っていた。
「じゃあいくか」
「おお!・・・ってことは僕もちゃんとした装備を・・・」
「おめぇはまだ裸だ。そこのオトモも裸だろうが」
「・・・」
そう言って僕のご主人様はというと、弟さんと同じ程度の装備を取り出して現れる。
「これで勝負か。どっちの戦い方が上か、勝負してやろうじゃねぇか」
「ふん、小賢しい。貴様の作戦なんぞハンマーで叩き潰してくれるっ!」
こうして、さっきまで失敗してた相手に、リベンジすることになったにゃ。
・・・この兄弟、仲良いのか悪いのかわからんにゃ。