※この記事は、完全にフィクションです。
とある人物をモデルにして、その心情を書いています。
読者のみなさんで、モデルとかはご想像にお任せします。もちろん、そのモデルとは全く関係ない話だし、
完全に架空です。
いよいよ始まる。俺の生涯を賭けた決戦。
達也は、それから瑞樹、今までありがとう。
お前達なしじゃ、俺はここまで来れなかった。
もうこの戦いは、俺だけのものじゃない、お前達のために、俺は戦うよ。
二人を抱きしめる。このぬくもりが、俺の支えで、心の拠り所だった。
負けを知り、屈辱を知った。
苛立ちのなか、お前達に辛く当たったりもした。
途中で引退することも考えた。
俺はこの世界で生きていけないと、深く絶望したこともあった。
今、俺がやらなきゃいけないことは、
お前達に謝ることじゃない。
頂点に立って、歓喜の歓声の中、お前達を抱きしめることだ。
だから戦うよ。この腕が動かなくなっても、この足が引きずっても、
絶対に倒れない。
本当に、長い道のりだった。
お前達には、ありったけの気持ちを、腹の底から言いたい言葉があるんだ。
ありがとう。
でも、まだ言わない。
やらなきゃいけないことがあるから。
アイツは天才だ。負けを知らず。才能もある。
頂点まで最短距離で上り詰めた。
俺はどこまでいけるかわからない。
俺にとって、これが生涯最初で最後の大きなチャンスなんだ。
絶対に勝つ。だから、最後まで見ててくれよ、瑞樹、達也。
試合開始10分前。もう行こう。
ここまできたら、最後の最後まで、戦い抜く。
照明がまぶしい。あふれんばかりの大歓声。
こんなに、俺のことを見ててくれるなんて・・・。
泣き虫だった頃の、あの見下したような眼はもうない。
こんなに人々のまなざしが心地いいものだったなんて。
向こうに、アイツがいる。
絶対に目線から外すな。闘う気迫だけは最後まで燃やし続けるんだ。
絶対にお前より先に倒れねぇ。
倒れるのはお前だ。
試合開始の合図が鳴り響く。
俺は、胸の奥から燃やしていた火力をさらに上げて、
アイツに向かって駆けていった。