【ショートストーリー】決戦の前 | AQUOSアニキの言いたい放題

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徒然なるままに俺自身のネタや、政治・社会ニュースへの辛口コメント、最近観た映画の感想とかを書き綴ります。

たまーにブログのデザイン変更とか自作ブログパーツを出したりします。「ムホホ~♪」

※この記事の内容は完全にフィクションです。

俺がとある人物をモデルに、その心情を考えて、記事にしたものです。

誰がモデルかは、みなさんのご想像にお任せします。

もちろん、そのモデルの人物とはまったく関係のないお話です。あくまでもフィクションです。




もうじき試合。あと30分で試合だ。控え室。
集中したいから、みんなには席を外してもらった。
相手は、アイツ。


アイツとは、長い関係だった。

数年前から、アイツとはやりあうことになる、そうなんとなく思ってた。


連戦連勝、波に乗ってる俺と、敗北を繰り返しながら、ここまで這い上がってきたアイツ。マスコミやファンは、こっちが優勢って言ってるけど、

そんなことはどうでもいい。


アイツは強い。妻や子供がいる。ファンからの信頼も熱い。

人格者で、ベテランで、アイツの勝利を願ってるファンも多い。

ああいう心から根っこを持ってる奴は、掛け値なしに強ぇんだ。


俺はアイツより年下で、家族に見放された。今、俺が頼るのはこの腕だけ。

俺は誰も信じない。

俺をここまで育ててくれたコーチや、みんなもいるけど、でも最終的に

信じられるのは俺自身だけ。


頂点を決める決戦。

だから、アイツは一生の全てをかけて俺に挑んでくる。

アイツにとってはラストチャンス。


でも俺はつぶす。アイツの幸せも、アイツ家族やファンが願ってる夢も、

俺がこの手でつぶす。

アイツに恨みはない。憎しみもない。だけど、つぶす。

俺のエゴのためにつぶす。

俺が俺でいられる居場所はこの頂点のイスしかない。

譲らない、絶対に。


試合が始まったら、もう相手の背景なんか関係ない。

世情も家族もファンも関係ない。善悪もない。

必要なのは相手を倒す意志だけ。


この頂点で居続けるために、色んなものを捨ててきた。

友情も愛情も、温かい日常を送るために必要なものを全部捨てた。

冷徹なマシンか。その通りかもな。


マシンは、倒れない。

この腕がある限り、この腕が折れるまで、絶対に倒れない。


俺は絶対に負けない。負けたら俺の存在意義がなくなる。

だから倒れるのはアイツだ。

だから、倒してやる。この腕で、アイツの意志を根こそぎ倒す。


・・・もう試合10分前。行こう。


ライトがまぶしいな。

みんなが俺を見ている。ああそうか、俺って、こんなにもファンがいたのか。

今まで気づかなかった。

なんて心地良いんだ。


向こう側にはアイツがいる。

にらみつけてやがる。今まで相手にしてきた奴らと同じ目だ。

家族がいようがいまいが関係ねぇ。


俺の眼の焦点は、アイツだけだ。

もう騒然としたカミナリのような歓声も聞こえない。

心臓の音がうるさい。もうこの音しか聞こえない。


アイツの目線が、俺の目線。

胸の奥が熱くなる。今にもこの腕が飛び出してしまいそうになる。


合図が鳴り響く。

さぁ、試合だ。



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