遅れながら義理の母様の誕生日を祝うために北へと向かう事にした週末、旦那が、
「母が夜に映画に行きたいと言うんだけど、いいかい?」と尋ねてきた。
もちろん良き妻としては快く承諾、「イイともさ。 で、母様は何をご所望で?」
「ほら、マーク・ウォールバーグ主演の、アフガニスタンで起きた出来事の実話に基づいた、、」
「は、、はぁ。。で? (戦争物は、苦手だなぁ:心の声)」
「えーっと、あぁ、Lone Survivorが観たいんだそうだ。」
うん、ゴメン。 すっごく観たくない!!
などと言える訳は無いのだけれど、よりによってタイトルで、「一人残して全員死んじゃいます。 その生き様死に様をとくとご覧あれ!!」のような事を述べている映画をどうして観たいものか。。。 しかも実話。
あー憂鬱だよ、ベイビー。
この手の映画にありがちの、作戦に駆り出される前の家族やフィアンセとのやり取りなど平和(?)な、ひと時が延々と映し出される。
あー、もう逃げたい。 帰りたい。 だって、皆、待っている家族がいるのに、あんたも、貴方も、君も、みーんな死んじゃうんだよ? 戦争なんて馬鹿げた事はやめてさ、故郷に帰ろうよ、家族の元に帰ろう!!
などと言う願いも虚しく(当たり前だ)、一向は作戦の場所へと送り出される。 敵地を観察し、その場で一休み、、と、きたのはいいが、あれ? ねぇ、悪いんだけど、その場所って、あんまり麓の村から離れていないよね。
絶対、誰かきそうじゃない?
あぁ、やっぱりね、あっさり見つかっちゃった!
さて、とっ捕まえた現地の子供含めた人達をどうしましょう。
結局は、この判断が最後に、「たった一人の生存者」の命運を決めるわけだけど、難しいよなぁ。 その場にいたら、私は絶対に「口封じのために、巻き込まれただけの人達を殺しはしない!」なんて事を言えるんだろうか。 生きるか死ぬかの状況におかれて、自分たちが生き残る道を選んだらどうしていけないんだろう?と、心をよぎるのは確かだと思うのだ。 正直なところ、明確な答なんてあるわけはなく、そんな答も出したくないから戦争も反対なのだけれども。
<閑話休題>
あっさり見つかっちゃった結果、一向はタリバンの大群に、これでもかと追い詰められるわけだが、これが、またしつこい! もうさぁ、こんだけどんぱちやって、アメリカンも降参だよ、もう、許してやれよ、、とは、いかないのが戦争というものらしい。 最後の一人まで全滅させまっせとどっかんどかんとありとあらゆる武器を使って追い詰める。。。 撃たれたアメリカンだって絶対諦めない。 自分の持っている武器を自分の頭に向ければ簡単なのに、、なんて、思うような輩は最初っから参加していないのか、そうか。
あー、戦争って嫌だなぁ。 この映画も嫌だなぁ、外で待っててもいいですか?
でもなぁ、この映画を観ていて感じたのが、タリバン潜む村人はごく普通の人達なのだけど、タリバンは、やれアメリカンを匿っただろうだのなんだので、村人を見せしめに惨殺し恐怖で支配している。 こんな状況におかれ、村人の一部は、だから、外の人間、特にアメリカンとの関わりを極端に避け嫌悪さえする。
村人からしてみたら、自分らとは何にも関係ないのに、勝手にやってきたアメリカンのせいでタリバンが自分達の生活を脅かすと思っても仕方がない。
自分の親や親戚が目の前で、タリバンに首を切られ殺され、それをアメリカンの責任とし、自らもタリバンとなるか、そんな生活は真っ平だとタリバンに反し、アメリカン、もしくは他の西洋国家の軍を支持するか、、、これだって、紙一重の選択だと思わずにいられないんである。
アメリカンや他、西洋国家の正義なんて、所詮一方通行な片思い、、なんて、事は多々あるのだろう。 日和見平和主義者は、武器を捨てよう、戦争は過去の産物にしようと願うんだけども。
と、まぁ、こんな感じで2時間、、ほぼぶっ通しでドンパチ見せられ、予定通り一人残して全員殺され、映画が終わった時には、観客のほとんどがゲンナリ状態。
この映画を自らご所望された母様なんぞ、「えらい映画を観てしまったわ。。。 実話じゃなかったら、この手の映画は絶対観ないところなんだけど、、それでも、恐ろしすぎて震えが止まらないのよ。」と。
実話だから、更に寝覚めが悪いとは思いませんか?
さておき、観てよかったと思えた事は一つ、ある。
我が在住国において、9・11以降、肩身の狭い思いをしている中近東の人達は沢山いると思う。 生まれが、この国だとしても、肌の色、両親の文化の影響で、そうとは思われず差別を受けた人もいると思うのだ。 中近東の人を見るだけで、F-Arabic!と言ってのける輩だっているのだ。
私とて、全くの偏見がないとは言わない。 あの出来事の直後など、やはり頭にターバンを巻いた方が同じ飛行機を待っているのをみると、なんともそわそわしたものなのだ。 多分、彼が、そのせいで、私よりもよっぽど重いセキュリティーを通ってきたのであろうと言う事を分かっていても、尚それだ。
だからこそ、改めて、一部の過激派のムスリムの人間、タリバンに苦しめられているのは、私達だけではない、同じく中近東の、ごく普通に私達と同じように暮らしている人達など、それだけで更に苦しめられているのだと、Lone Survivorを観て理解して、感じて欲しいと思わずにいられない。
でなければ、この映画は単なるタリバン対アメリカンのドンパチ映画、一行が死に向かうのを延々と映しただけになってしまうのだから。