今月の11日、実家のネコが永眠した。
両親はネコが死ぬ数日前まで海外に出ており、彼は文字通り、両親の帰りを待っていたと言う事になる。
彼は、私の両親がこちらに居る時にシェルターから弟が引き取ってきたネコで、グレーのフカフカと長く柔らかい毛と、アーモンド形の緑の目を持った豪華な雑種で愛想も良かったため、誰からも可愛がられていた。
数年前、彼の“姉(私と母が、彼の数ヶ月前に同じシェルターから引き取ったため)”にあたるネコが永眠してからは、彼がもっぱら実家のアイドルの地位をしめ、特に母には一番懐き、私達が日本に居ないと言う隙間を埋めてくれる役割も担っていた。
私がネコを某下種BF
から引き取り、実家に一時的に預かってもらうため連れて行った時には、喜んだ母が私のネコを抱っこし家を見せてまわったため、彼は酷く裏切られたと感じたらしく目に大粒の涙を浮かべ皆を驚かせた。
それ以降、彼は私を、“他のネコを連れ込んだ諸悪の根源”と見なし、実家に戻る度に玄関まで迎えにはくるのだけれど、私の姿を認めると足を止め、まじまじと顔を確認してから、“しゃーーーっ!!”っと一声上げて逃げて行くようになった。
晩年は、この出来事を覚えているから吼えると言うよりは、単なる条件反射と、久々に遊んでくれる挑戦者が現れたと言う意味合いでの、“ご挨拶”になっていたようではある。 もちろん、私も彼の挑戦を受けて立つこともあり、彼は私に勝てない悔しさから、また大粒の涙を流して私は母からお咎めを受けることも度々あった。
彼は干物とお刺身が好きで、“Tちゃんは味が分かる子だから、新鮮で添加物の加えられていないものしか食べないのよ~!”と、母は親馬鹿っぷりを発揮していたものだ。
その彼がいなくなってしまった。
数日経っても、まだ悲しみは消えない。 こういう時に、もっと悲しいであろう両親のそばにいてやる事も出来ない距離も悲しい。
この事もあり、久々に日本の空気も吸いたい事から、年末に日本に行く事に決めた。 これで、少しでも両親の気持ちをあげる事が出来ればと思う。 それでも、ドアを開けても、あのネコが、ちりちりと鈴をならし出て来ることはもうないのだ。
けれど、彼はきっと、今までうちにいた先住ネコや鳥達と、まわりにいることだろうと私は思う。