現在抱える仕事の一つに、取りたて屋
がある。
そう、支払期限の過ぎた請求書を探し出し、お客様へ、へいへいへいとっとと払えや、こら
さもなきゃ、部品の出荷とめまっせ~
と、丁寧に支払い催促するのである。 これが、誰もが知るような大企業であっても、そうそう上手くはいかない。 それが、南米や何かのお客さんともなると、もう、何十日も平気で支払期限を無視され、社内の上からの圧力とお客様の言い訳の間にギューギューと身を挟まれるつらぁ~い仕事だ
。 支払い滞納するお客様に問題があるのだとしても、だぁって~支払ってくれないんだから仕方ないじゃなぁ~い
、そのうち払うって言ってんだしぃ~
と片付けるわけには勿論いかず、何が問題で支払いしてもらえないのか、その問題の解決法を探せと、容赦なく肩に重く
のしかかってくるんである。
気分も良く、他の仕事が全て滞りなく進んでいる時には、お客様への催促メールを打ちつつ頭の中に、貸した金返せよ、はした金なんでしょ~
と件の名曲が流れ、他にいくつもの未解決事件を抱える時などは、心身共々追い詰められ、パトラッシュ疲れたろ。 僕も疲れたんだ。。。と、心の中で呟き、何故か“誰にも認められず凍死してしまったネロとパトラッシュ”を思い、たまには本当に涙まで出そうになりトイレに駆け込む
と言う、傍から見ると、ちょっと危ない感じがしないでもない精神状態を行ったり来たりする。
そして、待ちに待った支払いが入ってくると、今度は、支払い金額と請求書があっていない事も多々あり、そこから未解決事件に配置される調査員へと転身するのである。
こちらからの出荷、価格などを全て洗い直し間違いがない事を確認した上で、その詳細と共にお客様へ、おうおう、うちの請求書を安くとってもらっちゃぁ困りまっせぇ~、きちんと耳揃えて払ってもらえんかのぉ~
と丁寧にお願いをすると、ほぼ決まって、書類一式送るからそっちで調べてよ!と、やれ出荷書類から支払い詳細までがどーんとかなりのページ数で送り返してこられるのだ。 この時、間違っても、お客様とて許せぬ!などとやり返してはいけません、お客様は一応神様なのです。 しずしず頭をたれ、ひっちゃかめっちゃかな詳細を一つずつ崩し、馬鹿にお客様に更に丁寧に一から十まで説明してようやく納得して頂かない事には、事件は果てしなく迷宮入りし、ホシを上げる事は出来なくなるのですから。
言うのは簡単ですが、この仕事、かなりの粘着質タイプ
でなければ務まらない。 とにかく、ねちねちと数字が合わないと思われる箇所に見当をつけ内容をほじくり、そこから数字を並べ、あーだこーだ当てはめていくため、飽きっぽかったりすると一日やってもホシが上がらないのだ。 正直、細かい作業が苦手だと思っていたが、ヘビ年粘着女は、案外、この手の仕事に向いているようで(好きだとは決して言わない)、以前に、この仕事をしていた調査員のやり残した、一年以上も前の未解決事件を着々と紐解いていっている。
若い頃に、もう少しお勉強好きであれば、私は今頃、公認会計士くらいにはなれていたかもしれない、、と、自画自賛意気揚々新人ハー坊に、この仕事も引き継がせる毎日であるが、可哀想な彼は、わき目も振らず髪の毛を振り乱し、数字をひたすら追いかける私の姿を見て、近い将来自分に訪れる地獄を思い戦々恐々としているようである。 けれど、逆に言えば、こうならないためにはいかにミスを無くすかと言う攻略方も自分なりに考えているようで、私は、この子が自分の仕事を引き継いでくれる事を心から喜び、現在孤独なネロとパトラッシュを思い涙するなどと言う精神状態に落ちる事なく仕事をしている。