喉が痛い。 と、言うと最初に思うのは、また万年風邪っぴきのお嬢にうつされたか、、なのだが、今回は違う。
いつまで経っても私の仕事の一部すら引き受けようとはしないお嬢に愛想をつかし、これ以上待っていると、来週から始まる自分の新しいポジションのトレーニングに間に合わなくなるため、独断により(一応、直の上司には伝えてあるが)、新人の一人、ハー坊を自分の後釜として育てる事にした。 ハー坊は大学を出てまだ年数があまり経っておらず、社会経験が少なく、私の仕事内容に対する知識は全くと言っていいほどない。 けれど、とりあえず彼が基礎だけ覚えてくれれば、何かあった時のフォローは自分が引き受ければよいと、スパルタでトレーニングを開始した。
彼は、期待以上に頑張ってくれ、下手くそな私の説明にも一生懸命耳を傾け与えられた仕事だけではなく、その先にあるものまでにも目をむけ学ぼうとしてくれているため、調子に乗った私は自分がハー坊を一人前に育ててやるとばかりに、毎日まぁ~いにち、喋り続けている。
そしてとうとう身体の頑丈さに比べたら元々丈夫には出来てはいない喉は、いがらっぽく、少し声を上げても裏返ってしまうようになってしまった。
私の席で、枯れた声に一生懸命耳を傾け、本来だったら自分にまわってくる予定だった仕事を一身に引き受けるハー坊に、ハー坊やるじゃなあ~い、がんばって~
などと甘い声を出すお嬢には、もうラッキー
と言った態度しか見えず、この女には仕事をクビになるとか、そう言った事に対する危機感はないんだろうか
と、不思議に思わずにいられない今日この頃。 なんにせよ、もう何が不公平だ、誰の仕事量がどうだなどと言う気はない。 本来であれば新人だろうが誰であろうが、仕事のトレーニングなど、そもそも私の仕事の一部ではないし、それほどのお給料などもらってはいない。 現在、日中やりたい放題し、夜にわざわざ仕事を始めたりし残業代を稼いでいるお嬢の方が間違いなく現在の給料は高いと思う(降格になり時給になったのを良い事に遅刻、休憩、残業三昧の毎日なのだ)。 けれど、それでは新しい仕事に就いて頑張り色々挑戦しているハー坊に申し訳ない、彼がこの先、我がオフィスに愛想を尽かし他に移ってもやっていけるようにせめて自分の知っている事だけでも全て教えてあげたいと願い全力投球でトレーニングをしている。
私の枯れた声が報われる日が来るのかどうか、それは誰にも分からない。 けれど、ハー坊が色々教えてくれてありがとう、覚えるのが遅くてごめんなさいと言ってくれるだけで、また明日も頑張ろう、と、少しだけ思えるようになった。