昨日、NHKハイビジョンで「時の旅人 忌野清志郎」という番組を見ました。忌野清志郎が自分のルーツを辿る旅に出るという内容。
忌野清志郎が学生の頃、自分の音楽に1番影響を与えたというのが、オーティス レディングというソウルシンガー。彼の生まれたアメリカを旅する。とても素敵な旅で心に残った。
オーティス レディングは黒人で、当時黒人は入れる店や、ホテルなども制限されていたり、差別されていた。彼は10代後半からライブハウスのオーディションを受けまくっていたのだが、そこで彼の歌う姿を見て感動した白人の兄弟が、マネージャーを買ってでる。
彼らは車でツアーにでるのだが、差別のせいで一緒にホテルには泊まれない。そのためみんなで車で寝たりしたらしい。もうおじいさんになったそのマネージャーが「大変だったけど、あんなに楽しい日々はなかった。」と語っていたのが印象的だった。
レコード会社と契約が出来、オーティスは1週間中7日間ライブがしたいと言い、ライブをしながら曲をたくさん作った。でも、いくら頑張っても黒人の曲はベスト10には入れない。意気投合した白人のギターリストとステージに出ると、「黒人はソウル、白人はロックなのだから、オーティスのバックに適していない。」と言われる。そのギターリストは、「人種でそんな風に音楽をジャンル分けされるのはおかしい。」と言っていた。
その後、彼はポリープが出来、2か月休養をとる。その間ヒッピーと生活をしたりゆったりと過ごす。そしてその時出来た曲は、今までのソウルフルなシャウトする曲ではなく、ゆったりとした曲。歌い方も全く違った。戸惑う関係者に「僕が初めて1位をとる曲だ!」と言った。そのレコーディングを終え、バンドメンバーと自家用ジェットでツアーに向かう途中、墜落し26歳で亡くなった。
その後、その曲はオーティスの予言した通り全米1位となる。
番組の最後、忌野清志郎と、オーティスと一緒にライブをしていたギターリストが曲を作った。その曲が本当にいい曲で感動して泣きそうになった。歌詞は、オーティスが教えてくれたものを一つ一つならべているのだが、印象に残っている歌詞は、「オーティスがいっている 勇気をだせよ おまえの人生だろと」みたいな所でジーンときてしまった。
すごく心に残る番組でした。オーティス レディングは26歳という若さで亡くなってしまったけど、1週間に7日間ライブをしたいと言い、スタジオに泊まり込みで多くの名曲を作り、人の何倍ものスピードで生きたように思う。無意識の世界で自分には時間がないということを感じているかのように思えた。
そして、忌野清志郎は亡くなる数年前にこのように自分のルーツをたどる旅に出ていて、これも無意識の世界で感じていたのではないかと思ってしまった。
昨日の映像をみていて、この人はもう亡くなってしまったんだと我に帰る瞬間が度々あり、あまりにも才能あふれる生き生きとした映像とのギャップで悲しくなりました。