私は相変わらず、食べては吐く日々を続けていた。
大学の友達から心配のラインが来ても、
返事する気にすらなれなかった。
「大丈夫?」
「なんかあったらいつでも話聞くよ!」
という言葉も、薄っぺらく感じてしまった。
本気で心配してくれていたと思うのに、
こんなことを思ってしまう自分が情けなかった。
それでも、「本当は私のことを、可哀そうな子だと思っているんだ」という
悲観的な考え方はずっと変わらなかった。
私は、付き合っている彼氏にも摂食障害であることを隠していた。
食べたものを吐いているなんて知られたら、きっと引かれてしまうだろう。
でも、普通に食べたら太って、嫌われてしまう。
そんな葛藤もありつつ、どう思われるか怖くて言えずにいた。
私は今まで、中途半端な恋愛ばかりしてきた。
本気で好きだと言える人と付き合ったことがなかった。
でも、その時の彼氏のことは、心から大好きだった。
これからも人生を一緒に歩みたいと思えるほど、
彼のことが大切だった。
だからこそ、すべて白状しようと決めた。
彼と電話で話していたある日のこと。
私はついに、心を決めた。
「私は、普通にご飯が食べられない。」
うまく説明できなくて、最初は彼にも上手く伝わらなかった。
でもだんだんと彼が汲み取ってくれて、
「拒食症みたいなこと?」と言われた。
「うん。そんなようなもの。」
と答えた。
嫌われた、と思った。
その時、彼が言ったのは
「そんなこと気にしないよ。ねねちゃんのことも嫌いにならないし。」
という言葉だった。
私は、嬉しかった。
ふつうは考えられないことをしているのに、
気にしないと言ってくれたこと。
自分のことを受け入れてくれる人が、
こんなにも近くにいてくれること。
私は、病院の先生以外に自分の状態を話したことがなかった。
だから、彼に自分の口から伝えることができてすごく心が軽くなった。
その日以降も、彼は変わらず私に接してくれた。
彼なりの気遣いなのだと思う。
逆にそれがありがたかったし、
彼と一緒にいると、なぜか普通にご飯を食べることができた。
彼の前で「吐く」なんて汚いことはできないと思っていたし、
純粋に食事を楽しいと思えたから。
彼と過ごす時間だけは、私も普通に人間に戻れているような気がした。