反射神経 | TINY UNIVERSE

反射神経

入社時に組まれていた研修メニュー通りに、

3月末で今の研修先を離れて、

「研修生」という枠が取れる。


それは嬉しいようで、でもやっぱり不安の方が大きい。


あーだこーだと現状に対する不満と、未来に対する理想だけは大事に大事に育てているのに、

じゃあそんなお前に何が出来るって、何も出来ないに等しい。


研修の最終日、4ヶ月間お世話になった研修担当のコーチと移動中の車内で、

ひょんなことからコーチの職歴の話になった。


コーチは中途で今の会社に入った。

それまでにふたつの会社を経験している。

そこまでの情報は以前、本人から教えていただいた。


でもこの日は、なぜ過去に2度転職したのか、

その理由を聞かせていただいた。


ただ、僕の記憶が確かなら、僕から聞いた覚えはない。

コーチが最後に僕に話して起きたかったのか、

あるいはもしかすると何か、僕に対してのメッセージが隠されていたのか、

今の僕には分からないけれど、

25歳頃にそれまでの事務所を出て独立しようと動き出したこと、

それがある事情によって断念せざるを得なくなったこと、

当時は最も避けたかったサラリーマン生活に現状馴染んでしまっている理由、

さらには市役所勤務にも憧れるようになってしまったと笑いながらおっしゃった。

不謹慎かもしれないけれど、

いろいろ聞きながら、不思議と僕はわくわくした。


僕らはだいたいが18とか20とか22とか24とか、

そこら辺の年齢で社会に出ることを標準とされている。

社会への出方もいろいろあるはずだけれど、

多くの場合、どこかの会社に就職することになる。

「職業は?」

と聞かれれば、

「会社員です。」

と答えるような具合になる。

(まぁそれも今の時代じゃ職業も多様化してきてるから、案外「会社員」は少ないんかも)


多くの人がきっと同じように、

僕も子どもの頃から、サラリーマンというのはどこか避けたい大人像だった。

そのサラリーマン達がこの国を支えてるといっても過言ではないけれど、

自分はそれとは違う何か、もっと自由な領域で活動したいと思っていた。

会社とか企業とか、自分を制限する枠組の出来るだけ少ないところで。

もちろん枠組が取れるにつれて自分の背負い込む責任は増えていくのだけれど。


あ、でもそういえば、最初に憧れたパイロットは、今思えば立派なサラリーマンか。


就職を本気で考えるようになってからも、

公務員には見向きもしなかった。

それが今では定時に帰れることにだけとは言え、魅力を感じないこともない。

まあ、長続きはしないだろうけど。


僕と言う人間はきっと、仕事を生きがいに出来るタイプの人間だ。

アフター5を如何に充実させるかということよりも、

仕事の中でどれだけ自分を充実させられるかに注力したい人間だ。


だから魅力的な仕事でないといけない。

4月から就く僕の仕事は、中学生の頃から憧れた仕事ではあるけれど、

実際にその中で息をするとどんなものかは分からない。

思った以上に苦しいかもしれない。

思った以上に楽しいかもしれない。


ただ、僕らの世代では比較的標準的な考え方なのかもしれないけれど、

一生今の会社で働くつもりはない。

もちろん一生今の会社で働いていくことになるかもしれないし、

そう決めるかもしれないけれど、

いずれどこか別の場所へ身を移すことも想定している。


だから会社のこと、仕事のことを客観視していくことが重要だと思っている。

立派な社会人になりたいとは思うけれど、

立派な会社人になるつもりはない。

会社と距離を置きたいって訳ではないけれど、

会社の外のことにも目を向けられる余裕はいつも持っていたい。


昨日の夜、偶然プロフェッショナル を見ていたら、

ウェブデザイナーの中村勇吾氏が出ていて、

なんかコーチの話を思い出した。


状況に対する反射神経、

環境に対する反射神経、

時代に対する反射神経。

事が起こってからの反応ではなくて、

事が起こる兆しを読み取って先回りするくらいの反応速度。


それが新しい道を切り拓く。


10年以上前にオープンカフェの店を開く構想を練っていたコーチにも、

そういう反射神経は備わっていたらしい。

ところで僕には備わっているのだろうか。